研究実績の概要 |
本研究プログラムは金融規制、金融安定性および金融政策に関連する様々な問題を批判的・実証的観点から考察する、相補的な3つのプロジェクトから構成されている. まず、国際金融システムを形成する諸力について、増大する市場変動性に注目しながら規制的な観点から検討する. 次に、金融が不安定な期間における変動性の予想と金融政策の策定との間の関係について調査する. 最後に、実質利子率の非線形調節に対して実証的検証を行うことで、金融部門とマクロ経済との間の結びつきについて調べる. 本研究の主な目的は、VXJ指数のような先行的な変動性指数が経済不確実性の信頼できる指数になること、これらの指数が金融の安定性をもたらす金融政策の形成にとって不可欠となることの新しい証拠を提供することである. Project-A-「国際金融システムと金融規制」、Project-B-「金融安定性・期待変動性と金融政策」とProject-C-「債務・金融市場とマクロ経済」の3つのプロジェクトから成り、平成26年度の最終年度においては、計画通り研究を進めることができ、次の成果を得た.
Project-A-では、国際金融システムの重要な部分として含まれるイスラム金融について研究を行った. リスクシェアーリングに基づいたイスラム銀行の特徴について、書籍(Muto, Maghrebi and Turkistani, 2014, Islamic Finance, Gerlach Publishers, Berlin)の所収論文として発表した. Project-B-において、日本銀行の金融政策フォワードガイダンスと金融が不安定な期間における期待変動性の関係の分析結果を共同執筆者(Maghrebi, Kim and Nishina)でまとめ、査読付雑誌の審査を受けている. Project-C-では、Tobin Qの概念を用いて、経済景気循環局面における実態経済・金融セクターの関係の分析結果を査読制付雑誌の論文(Holmes and Maghrebi, Studies in Economics and Finance, 2015)として発表した.
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