研究課題
能力の可測性や比較可能性が当事者たちの間でいかに担保されてきたのかにつき、「能力の間主観的構造」という概念を仮設して、職業世界で当事者間の熟練の比較衡量を可能としている要因として、労働者の技能・能力、労働市場での格付け・評価、学歴・教育歴、および組織内での威信・権力の4点を取り上げ、以下の点を解明した。アメリカ大企業における雇用・評価・報酬制度の生成と展開を「ホワイトカラー史」として再構成し、アメリカから日本への人事労務管理史学説の受容と変容、特にピーター・ドラッカーの学説と、その日本での変容過程を考察した。日本の学校教育と企業の人材開発・人的資源管理との関係性を工業高校卒業者のキャリア聴取調査と労働研究の文献調査により究明するとともに、製糸工女が工場労働に従事しながら寮舎での裁縫教育を受け、戦後には和裁・洋裁・編物の資格を取得するコースが設けられたことに着目して、企業が女子に職業/生活世界における衣料生産の熟練形成を促したこと明らかにした。また、戦後日本における能力と賃金との関係および労使関係の両面の変化を、「資格給の形成過程」および「経営協議会の変貌」に焦点を当てて分析し、日本の地域的な雇用のあり方と雇用創出の営みの内的な論理に迫った。これまで未開拓であったフランス初期労働組合運動における改良主義的潮流の内実と後の労働組合運動への影響を叙述するために、改良主義の中心となった書籍労連とその指導者であるオギュスト・クフェルについて考察を進め、教育と資格と職務の相互関係について、戦間期~戦後に整備された公教育による能力の保障と、企業内実習が入れられた制度(「スタージュ」)に注目して考察した。イギリスについては産業革命後ほぼ19世紀中の熟練労働者間の能力差をめぐる言説と制度と処遇の相互関連に注目して、労働者・職長・技師・経営者の間に成立していた暗黙の共通了解を解明した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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