研究課題/領域番号 |
24330126
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
武石 惠美子 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (70361631)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 短時間正社員 / 短時間勤務制度 / 処遇制度 / ワーク・ライフ・バランス / キャリア形成 / 職場マネジメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、育児等を理由にした短時間正社員制度の利用が長期化することによる利用者のスキル開発や長期的なキャリア形成への影響を明らかにし、それに伴う人事処遇のあり方を検討することにある。 平成24年度に実施した国内企業ヒアリング調査、平成25年度に実施したイギリス、ドイツの企業ヒアリング調査により、イギリス、ドイツと比較して、日本企業においては、短時間勤務者に配分される業務内容や、スキル開発・キャリア形成等に関連する人事管理や職場管理において、いくつかの課題があることが明らかになった。これらの結果を踏まえ、平成26年度は以下の研究を実施した。 まず、これまで本研究で明らかになった課題等を整理するとともに、国内外の先行研究のレビューを行った。 その上で、調査仮説を設定し、最近3年間に短時間勤務制度を利用する部下(大卒以上)を持つ管理職を対象にアンケート調査を実施した。本調査は、ヒアリング調査により明らかになった課題等について、定量調査を行うことにより実証的に分析し、短時間勤務者のスキルやキャリアを維持・開発できる企業及び職場の要因を明らかにすることを目的に実施したものである。 アンケート調査は、調査会社のモニターを活用して調査の条件に該当する対象者をスクリーニングした上で、平成26年11月末から12月初めにかけて実施し、757名の回答を得ている。 調査の分析を進め、短時間勤務制度利用者に対する職場の対応の実態についての現状把握、その実態を踏まえた短時間正社員の処遇のあり方について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内外の企業のインタビュー調査により、日本企業における短時間勤務制度の課題が明らかになり、それを踏まえてアンケート調査を実施し、一定の回答が得られている。調査は、制度利用者の業務特性、職場のマネジメント特性、企業の人事管理特性が、効果的な制度利用というアウトカムにどのように影響するか、が分析できる設計となっている。 今後、データ分析を進めることにより、当初の研究課題である「短時間勤務制度を利用することによるキャリア形成に与える影響を明らかにし、そうした状況に対する職場の対応の実態についての現状把握を行い、その実態を踏まえた短時間正社員の処遇のあり方について検討し、制度定着に向けた政策的示唆も得る」ことにつながると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に実施したアンケート調査の分析を行い、短時間勤務制度の課題や効果的な活用のあり方について、企業・職場の観点から検討を行い、学会発表や論文執筆を進めて対外発信を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査に向けた海外研究のサーベイのための研究協力者の謝金を予定していたが、研究協力者と連携・協力して進めることにより効果的に研究の推進を図ることができたために、経費節約につながった。
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次年度使用額の使用計画 |
アンケートの分析、研究結果の公表のための論文執筆等の経費として使用する予定である。
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