研究課題/領域番号 |
24330135
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山本 昭二 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (80220466)
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研究分担者 |
羽室 行信 関西学院大学, 経営戦略研究科, 准教授 (90268235)
森藤 ちひろ 京都産業大学, 経営学部, 講師 (10529580)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 消費者行動 / 評価過程 / 情報処理 / 調査システム / 感情 / 認知過程 |
研究概要 |
本研究の実績としては、継続して開発しているWEB上での実験システムの改修がほぼ終了して、複数の研究者による実験が遂行されていることである。平成24年度に行われた改修を元にして当初想定されていた、製品評価マトリクスの精緻化実験が研究代表者によって行われた。 また、Webページの評価実験システムを利用して、研究分担者である森藤ちひろによって新しい実験が行われた。この研究は、私立医科大学のホームページの評価を行う実験で成功裏に終了して報告書が作成された。 亜細亜大学の西原彰宏講師によってショッピングモール上での選択実験が実施された。この実験は、研究活動スタート支援(課題番号:24830076)と連動して行われたものである。この研究では、Web上での棚表示システムが開発され本研究で開発されている実験システム上で稼働している。これらの研究によってWeb上のショッピングモールでの製品評価から購入までの過程の分析を行うためのシステム構築はほぼ終了している。 これとは別に名古屋市立大学の山本奈央講師によるネットコミュニティに関する実験も行われており、データの取り纏めを行っているところである。 これらの実験システムに加えて、25年度には新たに任意のWebページの閲覧を追跡するモジュールが開発され、このシステムを利用して平成26年度に実験が行われる予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は3年間の期間を想定しており、当初の2年間でシステムの開発と検証を行うことになっていた。システムの開発にはやや時間を要したが、多くの研究者の協力を得て改修が進み実用的なレベルに達しつつある。現在までで10件程度の研究課題が実施されており、そうした意味では多彩な利用が行われていると言って良いだろう。 また、利用経験を積む中で利用環境を改善する努力も続けられてきており、現在までにこのシステムを利用した利用者からのフィードバックは非常に有効なものとなっている。開発開始から4年が経過していることも有り一般に公開する時期となっているが、微細なバグの修正に時間が掛かり、現在の所は一般に周知するには至っていない。 一方で、データ分析に関しては現状の分析手法の応用に留まっており、得られたデータを十分に処理するところまでは進んでいない。この実験システムと連動して作動する分析システムは、研究分担者の羽室行信が作成しているが、データ解析の自動化までは進んでいないので、その点は最後の課題である。 平成26年度は、現在までの成果を元に利用者を拡大することが企画されている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ほぼ完成しているシステムについては、改良点として次の3点が挙げられている。 1.データの集計ツールの完成、2.ヘルプの充実、3.解析システムの充実 である。 1.は既に開発が進められており5月中には完成する予定である。2.は平成25年度から引き続き作業が行われており、7月までには完成版をリリースすることが予定されている。3.に関しては本システムをhtml5に対応させる中で可能性が探られており、今年度一杯を掛けて実装が行われる。 こうした改良を加えていく一方で、現実のマーケティングリサーチに利用することも含めたシステムの公開が急がれる。近年のE-Commerceやネット広告の進展速度は急速なものが有り、これらに対応するシステムが実用に供されてきている。本研究で作成されたシステムは、消費者行動研究で利用可能なプラットフォームを提供するもので有り、当初想定した様に多くの研究者や企業に利用を促していくことによって内容の充実が図れるものと考えている。 特に海外の研究者がこのシステムを利用することが容易になるように、既に想定されているクラウド上の実装を実施に移す時期に来ている。メニューの英語化などは比較的容易に出来るので、出来るところから手を付けていきたい。以上のような観点で最終年度を迎えるに当たって、継続した実験とシステムの改修が実施される。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の研究計画との大きな異同が発生したのは、実験システムの開発に関する部分である。当初の予定通り、Webページの評価を行うためのシステム開発を行っていたが、実験結果のデータのダウンロードに関してファイヤーウォールを超えてダウンロードする際の問題が積み残しとなっており、この問題の解決に時間が掛かったことが一番大きな原因である。 次に、任意のページでの被験者の動きを知るための簡単なモジュールの開発を行ったが、この実験を実施するために協力者を確保することに手間取ったことである。この実験が2013年度中に実施できなかったので、この実験に掛かる費用が支出できなかったことで繰越金が生じた。 前年度にデータのダウンロードの問題は解決し、一般に公開することが可能な時期に来ている。その為に予定をしているホームページの作成などを企画しており、その為に費用に充当される。また、任意のWebページ上で行われる被験者のページ閲覧履歴を追跡するシステムの実験も行われる。 また、以前に改修が行われた、属性とブランドの縦横を回転させてデータを取得させる実験も未実施になっているので、この実験も合わせて行われる。その為の費用としても充当される予定である。
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