研究課題/領域番号 |
24330139
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
伊藤 邦雄 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (60134889)
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研究分担者 |
浦崎 直浩 近畿大学, 経営学部, 教授 (60203600)
大塚 成男 千葉大学, 法経学部, 教授 (20213770)
中條 祐介 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (40244503)
梅原 秀継 中央大学, 商学部, 教授 (40282420)
中野 誠 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (00275017)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ショートターミズム / 業績予想 / リスク情報 / 四半期情報 / 公正価値 |
研究概要 |
研究初年度にあたる平成24年度においては、会計情報の開示とショートターミズムとの関係性について検討している先行研究の整理を行った。当該整理に基づけば、(1)株式市場からのプレッシャーや開示情報、業績ガイダンスなどが企業の短期志向に与える影響について、実験アプローチやサーベイ調査による検討、(2)経営者による業績ガイダンスやアナリストによる業績予想の存在が投資行動に与える影響をアーカイバルデータに基づき検証、(3)公正価値会計が企業の短期志向に与える影響をアーカイバルデータに基づき検証、の3タイプの研究が実践されていた。 本研究事業では、業績予想、四半期開示、公正価値会計の短期志向に与える影響を検討するため、それらがイノベーション投資、リスク管理行動、CSR・環境経営など長期的な経営活動に与える影響を検討することを狙いとしている。研究初年度では、相対的に研究蓄積が進展している業績予想にかかわるデータベースの整備およびそれに基づく実証的な検討を行ったほか、業績予想の達成度に対して、企業の組織資産や経営の時間軸が与える影響を検討した。検討の結果、企業が短期志向にある場合、業績予想の達成度が低下することが確認された。 こうした研究を続ける一方で、企業のリスク管理行動やCSR・環境経営なども含めた価値創造プロセスの「見える化」のためのデータベースの構築や四半期決算、公正価値会計などの活用やそれが企業経営に与える影響を調査するためのデータベースの蓄積に向けた取り組みについても着手を開始している。具体的には、企業の情報開示責任者に対するインタビュー調査や日本を代表する機関投資家に対するインタビュー調査を通じて、四半期決算や公正価値会計がどのような影響を企業行動に与える可能性があるのか、またリスク管理活動やCSR・環境経営などに対する投資家の認識などについても確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画について記入している平成24年度予定の内容については、一部を除いて進めることができている。実施できていないリスク管理担当者やCSR・環境活動担当者に対する質問調査についても、インタビュー調査を通じて、仮説構築のための情報収集は実践できている。このため、「おおむね順調に進展している」という自己評価をしている。
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度の平成24年度に実施した(1)業績予想などのデータベースの構築、(2)リスク管理活動やCSR・環境経営に関するインタビューに基づくデータベースの構築、(3)四半期決算や公正価値会計にかかわる評価へのインタビューなどによる実態確認、などを前提として、会計情報の開示とショートターミズムの関係性を検討するにあたっての論点と検討仮説を明示化し、それに基づきパイロットテストや実証研究などを実践していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の未使用額は、インタビューによる実態確認を優先したため、リスク管理担当者や環境・CSR担当者に対するアンケート調査を十分に実践できなかったことにより発生した。この未使用額と合わせた平成25年度使用額は、(1)平成24年度に行わなかったアンケート調査の実施、(2)リスク管理活動やCSR・環境経営、公正価値会計などにかかわる領域について、ハンドコレクトや質問調査に基づくデータベースの構築のための研究協力者に対する謝金・質問調査の実施、(3)懐疑実施、国内外の学会や機関への調査のための国内・海外旅費に使用する。
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