研究課題/領域番号 |
24330145
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
山口 恵子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (40344585)
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研究分担者 |
北川 由紀彦 放送大学, 教養学部, 准教授 (00601840)
白波瀬 達也 大阪市立大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (40612924)
村上 英吾 日本大学, 経済学部, 准教授 (30366637)
小池 隆生 専修大学, 経済学部, 准教授 (40404826)
松本 一郎 国際医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (30459961)
後藤 広史 日本大学, 文理学部, 助教 (60553782)
青木 秀男 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, その他部局等, 研究員 (50079266)
吉田 舞 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, その他部局等, 研究員 (50601902)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ホームレス / グローバル・シティ / 国際比較 / 都市下層 / 社会的排除 / 労働市場 / 貧困 |
研究概要 |
本研究は、グローバル・シティ(東京、大阪、マイアミ、マニラ)におけるホームレスの労働・居住をめぐる国際比較研究を行う。2年目にあたる今年度は主に、各都市25人のホームレス経験者への聞き取り調査と、その結果を広く公開する学術フォーラムを実施した。 具体的には、第一に、各都市でおよそ25人ずつのホームレス経験者へのインテンシブな聞き取り調査を行った。昨年度の後半から行ってきた質問項目の練り上げ、サンプリング、仮説構成、予備調査などの調査準備を踏まえて、およそ半年にわたって本調査を行った。調査は、NPOや福祉施設等からの紹介を受けて施設で行ったり、路上で声をかけて路上で行ったり、複数のルートを用いて実施した。そしてテキスト化作業とあわせて、データを共通のフォーマットで整理・共有し、分析を開始した。また本調査に合わせて、関係機関の聞き取りも行った。 第二に、その25人聞き取り調査の結果を受けて、それを社会に広く公開し、フィードバックするために、12月に東京にて学術フォーラムを実施した。調査結果をまとめた第一報的な報告にあたるものであったが、広範な参加者を得て、議論を深めることができた。さらにフォーラムに合わせて、研究メンバーが一堂に会する研究会を行い、調査結果の報告と、そこから各都市およびホームレスの共通性と差異性について、類型化等を含む詳細な議論を行った。また日本以外からの参加メンバーは東京と大阪でのフィールドワークを行い、比較のための情報収集を行うことができた。 その他、仮説と理論枠組みに関する資料・文献収集とワーキングを行い、その精緻化に努めた。本年度は、来年度のいっそうの分析の深化と報告書の作成等に向けて、順調なデータ収集と議論を行うことができた。また、多くの口頭発表や論文等の執筆が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた聞き取り調査をすべて順調に終了することができた。ただし、録音データのテキスト化作業や翻訳作業が一部残っており、それについては次年度早々に行う予定である。また、調査を受けて社会にフィードバックする学術フォーラムを開催し、議論を深めることができた。さらに、都市ごとの研究会・勉強会を複数回実施し、いくつかの学会発表や論文執筆を行うことができており、おおむね計画通りに進行した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、収集したデータや資料をもとに、分析と報告書の執筆を行う。それにあたっては、複数回の研究会を実施し、データの共有、各都市の共通と差異に関する比較の分析、執筆方針についての確認を行い、より質の高い分析と報告書の完成を目指す予定である。また、これらの成果をもとに各種学会報告等を行うことで、仮説や理論を含めてより洗練させていく。投稿論文の執筆等にあたっては、メンバー同士でコメントを行い、より質の高い成果を目指す予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じたのは次のような理由である。第一に、大阪市での調査について、聞き取り調査自体は終了したが、それの録音データをテキスト化するために業者に依頼する予定であったのが、調査の遅れやその整理に手間取ったことから、一部のデータのテキスト化が年度内に完了しなかった。それが最も大きな理由である。第二に、一部の聞き取りデータのスペイン語から英語への翻訳作業について、調査の終了に時間がかかったこともあり、翻訳まで行う時間が足りなかった。第三に、謝金でのアルバイトによる調査作業補助を予定していたが、メンバー自らがほとんどの調査を行ったために、当初の予定よりも経費が節約された。以上が主な理由である。 大阪の調査の録音データのテキスト化については、次年度すぐに業者等に依頼する予定である。翻訳作業についても、マイアミの専門家に依頼するめどがたっているので、配分され次第、使用する予定である。節約された分については、次年度の旅費にあて、執筆のための分析・打ち合わせ会議の回数を増やしたいと考えている。以上のように、経費は適切に使用する予定である。
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