人間社会の特徴は、非血縁間での大規模な相互協力であり、それを可能にするメカニズムとしてよく取り上げられるのがサンクションである。これまで、実際に人々が自分にとって不利益になったとしてもサンクションを行使することが、実験室実験により示されてきた。本研究はこのような「実証された」サンクション行動に再検討を加え、サンクション行動は行為者の選好をそのまま反映するものではなく、様々な状況要因によって大きく異なることを示した。そして、サンクションの機能として、選択的相互作用との相乗効果により、サンクションが行使されるという共有信念が現実化するメカニズムが存在することを明らかにした。
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