本研究は、災害時の行動スクリプトに潜む問題点を把握し、災害対処行動を促進するための方法を実証的に検討することを目的とした。また、さまざまな災害に対する国民のリスク認知についての基礎データも収集した。調査の結果、災害直後、通話がきわめて困難であることがわかっていてさえ、住民は携帯電話による安否確認に固執することが明らかになった。また、対処行動促進の一連の実験では、他者援助アピールは被災対象が自分の子供であってでさえ、それほど有効ではないことが示された。リスク認知調査の結果からは地震と原発に対する不安が低下する一方、他のハザードについての評価にはほぼ変動がないことが示唆された。
|