研究課題/領域番号 |
24330191
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 道代 東北大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60312526)
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研究分担者 |
神谷 哲司 東北大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60352548)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | coparenting(夫婦ペアレンティング) / 子育て期 / 夫婦ペアレンティング調整行動 / 親発達 / 両価性 |
研究実績の概要 |
親になったことによる変化について,第一子出生から青年期後期の父母ペアを対象とし、ポジティブな意識だけではなく,リソースの喪失というネガティブな制約感を含めた両側面から検討するためにオンライン調査を実施した。 第一子年齢4群(0-5歳,6-11歳,12-17歳,18-21歳)×性別2群(父親,母親)の均等割り付けを行い,得られた父親母親446組のペア回答を分析の対象とした。柏木・若松(1994),森下(2006,2012),高橋・高橋(2009)の4研究で複数回採用された項目を中心に30項目を選択。加藤(2010)を参考に,子どもを育てながら感じる後悔や寂寥感6項目も別に用意した。前者は因子分析(最尤法・プロマックス回転)の結果,関係性における変化意識(母15項目・父9項目),人格における変化意識(母8項目・父10項目),制約感(母父とも5項目)の3因子抽出,後者は最尤法による寄与率の高さから寂寥感・後悔(6項目)としてまとめた。 性別(父親・母親)*年齢の2要因の分散分析(混合計画)により,平均値の差を検討した結果、第一子年齢にかかわらず,母親は父親よりも,人格面で変化したと感じており,子どもが成長することへの寂寥感・後悔においても父親より高かった。時間的拘束感や行動の狭さなどの制約感をみると,乳幼児期,学童期の父親は思春期以降に比べれば有意に高いが,それでも,乳幼児期,思春期,青年期における母親の制約感は父親よりさらに高い。人格意識や寂寥感・後悔の性差と合わせて考えると,母親が感じる子育てによる親発達意識は,関係性意識を除き,ポジティブネガティブ面とも父親よりも高く,子育て時期によらず両価性が強い。また,寂寥感・後悔には子育て期による差がみられないことから,回顧的喪失感は育児後期の子どもの自立によるだけでなく,子育て初期から子どもの成長により喚起されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、25年度からの繰り越しを許可頂いた結果、順調に進行し、修正後の予定どおりに終了した。またその成果を、国際学会発表1件、国内学会発表1件、査読付国内雑誌による公刊1件として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、申請研究の当初計画において最終年度となるため、以下のとおり進行する予定である。 これまで、第一子が乳幼児期から自立期にあたる青年期までの父親と母親のcoparentingの様態を明らかにするために、この広汎な子育て期間における父母の養育態度、親発達、夫婦ペアレンティング調整行動について明らかにしてきた。 その過程において、手法上重要な課題が明らかになった。すなわち、1.夫婦ペアデータ収集の必要性、2.APIM(Actor- Partner Interdependence Model)を例とする二者の相互作用に着目したモデル構築と分析の必要性 3.coparenting研究における子ども変数の導入の必要性 4.Cross-Lagged Modelによる、変数の影響方向の確認の必要性が挙げられる。これらの課題をクリアするために、平成26年度課題として、子どもの行動(SDS)、夫婦coparenting、養育態度、夫の子育て関与、親発達意識を尋ねる質問紙を作成し、夫婦ペアを対象としてデータを回収した。 今後は、第一にこの結果をAPIMを用いて分析する。第二には、この調査の1年後追跡調査を行い、Cross-Lagged Model分析を行う。第三には、父親と母親を対象として、夫婦coparenting調整尺度に見られる母親から父親への促進行動と批判的行動について、具体的にどのような子育て場面において見られるのかを自由記述の質問紙調査、もしくは面接調査により確認する。いずれの調査にあたっても、調査者による調査の十分な説明のもとに対象者の同意を得て実施する。これらの結果を踏まえて、申請研究の総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年に繰越となり、計画どおりに調査を終了し、その研究成果発表も年度内に実施する等、効率的に執行した結果、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度請求額と合わせ、平成26年度の研究遂行に使用した。
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