研究概要 |
本研究の目的は、子どもの感情制御の可塑性を文化比較と脳神経反応という複層的視点によって分析することである。1)幼児期から児童期にかけての実行機能と心の理論の発達が、感情に関わる脳波の活動とどのように関連するのかを分析し、2)感情に関わる脳波の文化差を、日本・アメリカでの同一手続きによる実験を実施して検討し、3)感情の制御についての文化的スクリプトと感情に関わる脳波との関連の検討を行う。 本年度は、日米で綿密に研究打ち合わせを行った上で、実験準備を進めた。 研究1:子どもの感情制御システム課題と脳波測定課題 日米で同等の実験機材、ソフトウエアを検討し、機材の購入、実験室設営を行った。 実験課題については、ポジティブなフィードバックとネガティブなフィードバックの相違が文化によって異なるか否かをみるために子どものERNを測定する予定であったが、感情制御の文化差をまず検討するために、ネガティブな感情の制御をより直接的に測定する課題を実施することとした。ネガティブな刺激に対して感情の制御を行う際の子どもの後期陽性特性(LPP)を測定する課題(DeCicco,Solomon,&Dennis,2012)を用いることとし、研究協力者との打ち合わせを行った。 感情制御に関連する心の理論課題について、ミシガン大学の研究協力者との討論を経て、行動指標だけでなく、脳波も測定することとした。このため、脳波測定に妥当な新たな心の理論課題(Bowman,Liu,Meltzoff,&Wellman,2012)を同定し、アメリカと同等の手続きによる課題を日本語に翻訳した。
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