研究課題
周産期医療領域では整備指針の改正で臨床心理技術者の配置が明記されたことで、急速に臨床心理士の雇用がすすんできている。NICU入院中の家族への支援については、実践が積み重ねられてきたことで、日本独自の支援の在り方が構築されてきた一方で、退院前後の臨床心理学的支援のありかたについては十分な検討はされてきていない。そこで本研究ではNICU退院前および、1歳半の時点での母子の相互作用と早期介入の在り方の検討を行うとともに、赤ちゃんと親の関係性の支援をしていくための医療スタッフ向けの教育研修用のDVDの作成を行った。NICUにおける退院前の臨床心理学的支援の一つとしてのブラゼルトン新生児行動評価(NBAS)の応用可能性を検討した。正期産児では、実施群と未実施群で母親の抑うつ、赤ちゃんに対するイメージなど各尺度で両群間に有意差はみられなかった。NICU群では、親子のやり取りがコミュニケーション的音楽性を持っていること、赤ちゃんが社会性に富んだ存在であることが親に伝わり、よい反応につながる結果となった。次に退院後の母子の相互作用を検討するため1歳半時点での極低出生体重(VLBW)児と母親の相互作用をCPICSの手法を用いて正期産児と比較検討した。その結果,VLBW児は母親に働きかける際にニュートラルな表情が少ないこと,児が始めたやりとりではターンテイキングが長く続きにくいことなどが明らかになった。機能的な遊びが行われている場面では,子どもの興味は逸れやすい一方で,感覚的な遊びが行われているときは、相互作用が長く続きやすかった。これらの結果をもとに正期産児とNICU入院児の子どもの姿と母子のかかわりを継続的に撮影し、比較してとらえることのできる本編約50分と、より詳細に赤ちゃんを観察してとらえるための「観察しよう」約20分で構成されるDVDを作成した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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児童青年精神医学とその近接領域
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名古屋大学教育発達科学研究科紀要(心理発達科学)
巻: 60 ページ: 95-102