研究課題
前年度、自閉スペクトラム症児と定型発達児を対象に、パソコン画面上ではなく、実際の場面における他者への注視行動について、アイトラッカーTX300を用いて検討した。これまでのビデオ解析による研究とは異なり、自閉スペクトラム症児も定型発達児と同様に、実際に対面した他者の視線をよく追うことが示された。平成26年度は、前年度に実施した研究の実験参加者数を増やすための追加実験を行った。特に前年度に参加数が少なかった年齢群を中心に、新たな実験参加者を募集した。実験には、当該研究課題の他、知能検査(WISC-III、レーヴン色彩マトリックス検査)や発達検査(Picture Vocabulary Test-Revised; 絵画語い発達検査)、ADOS(Autism Diagnostic Observation Schedule; 自閉症診断観察尺度)などの障害特性の検査等が必要となる。ADOSは検査時間が長く、実験参加者、ADOS実施者にとっても負担が大きいが、自閉スペクトラム症研究においてはゴールドスタンダードとも評される検査でもあるため、実施の必要があった。実験参加者の負担を考慮しながら実験を開始したところ、時間等の制約もあり、検査と実験の両方を今年度中にすべて実施することは難しかった。そこで、本年度は研究発表に必要不可欠な検査等をまず実施することに徹し、追加実験は、補助事業期間延長申請手続きをして、次年度に先送りすることにした。
3: やや遅れている
平成26年度に、自閉スペクトラム症児を対象とした実際場面での視線追従に関する課題の追加データ収集を行う予定だったが、新規参加児の障害特性の検査等に時間を要したため、追加実験の実施が先送りとなったため。
自閉スペクトラム症児を対象とした実際場面での視線追従に関する課題の追加実験を行い、平成25年度のデータと合わせて解析し、学術論文としてまとめた上、学術誌へ投稿する。
予定していた追加実験を延期したため。
実験実施に伴う物品費、研究打ち合わせ・発表のための旅費、実験参加児および実験補助者への謝金、実験参加家庭への通信費等に使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)
Autism Research
巻: 7 ページ: 590-597
10.1002/aur.1397