研究課題/領域番号 |
24330210
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
梅田 聡 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (90317272)
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研究分担者 |
三村 将 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00190728)
守口 善也 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所, 室長 (40392477)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 内受容感覚 / 自律神経反応 / 不安障害 / パニック障害 / 心身医学 |
研究概要 |
本研究では,心理学・精神医学・心身医学という3つの研究領域による統合的理解を目指し,不安症やパニック障害における精神症状の発生メカニズムの解明を試みることを目標としている。この目標に照らして、初年度である本年度は、健常者および高不安者などを対象に「基本感情および複雑感情の理解に関する課題」「内受容感覚の敏感さを調べる課題」などを実施し、感情認識の特性に及ぼす身体内部状態の処理特性の影響を検討した。健常者を対象に、質問紙などを用いて個人の人格傾向、不安傾向などを測定し、その傾向と表情画像を用いた感情認識課題の成績の関係性を調べた。さらに、心臓や胃といった内臓の動きを、心拍計、胃電図(EGG)といった末梢神経指標によって測定し、その活動とそれに対する気づきの程度を内受容感覚の敏感さとして評価した。これらの指標と感情認識の特性の関係性を検討した結果、内受容感覚の鋭敏さは感情認識の敏感さに対する予測因子として機能していること、また内受容感覚への注意の程度が不安傾向と関連していることが示された。これらのデータは、次年度以降に心身症症例や不安神経症症例、パニック障害例を対象とした研究を行う上で、課題や仮説の妥当性を確保するための有益な基礎的情報となる。得られた研究結果は、すでに国内外の学会に発表し、その一部については学術雑誌への投稿準備が完了している。 研究計画に記述したように、本研究では不安のメカニズムを多面的な研究手法および関連する病態モデルに基づいて理解することを目指している。このためには、研究分担者が綿密な議論を重ね、相補的な研究を推進することが必須である。本年度は、このための基盤として、定期的に議論を重ね、研究開始に必要となる手続き、設備の確保、予備的研究などを行った。次年度以降のための頑健な基盤が築かれたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した初年度の研究計画を実施し、次年度以降の基礎となるデータが得られた。さらに、研究体制の準備を綿密に行うこともできており、研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、健常者を対象に用いる研究課題の妥当性、および仮説の妥当性を検証することができた。今後は、心身症症例、不安神経症症例を対象とした研究を推進する予定である。今後は、MRIを用いた研究が開始されるため、研究の遂行、研究結果の解析などの負荷が増加する。迅速な研究の遂行および結果の発表のために、独自の解析アルゴリズムの準備、研究補助者の雇用、多施設からの症例のリクルートなどを適宜行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度に計画していた研究が一部,対象となる症例の確保が困難であったために,次年度に繰り越す形式となった.内容的な計画の修正はなく,次年度に本年度計画分を遂行予定のため,合算した内訳で使用することにした.
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