研究課題
本研究では、心理学・精神医学・心身医学という3つの研究領域による統合的理解を目指し、不安症やパニック障害における精神症状の発生メカニズムの解明を試みることを目標としている。この目標に照らして、初年度および25年度は、健常者および高不安者などを対象に「基本感情および複雑感情の理解に関する課題」「内受容感覚の敏感さを調べる課題」などを実施し、感情認識の特性に及ぼす身体内部状態の処理特性の影響を検討した。健常者を対象に、質問紙などを用いて個人の人格傾向、不安傾向などを測定し、その傾向と表情画像を用いた感情認識課題の成績の関係性を調べた。さらに、心臓や胃といった内臓の動きを、心拍計、胃電図(EGG)といった末梢神経指標によって測定し、その活動とそれに対する気づき内受容感覚の敏感さとして評価した。これらの指標と感情認識の特性の関係性を検討した結果、内受容感覚の鋭敏さは感情認識の敏感さに対する予測因子として機能していること、また内受容感覚への注意の程度が不安傾向と関連していることが示された。さらに、不安傾向における未来思考の性質との関係性を調べるための健常者を対象とした実験も完了し、次年度における不安障害を対象とした研究および脳機能画像研究に向けての準備も整っている。本研究では不安のメカニズムを多面的な研究手法および関連する病態モデルに基づいて理解することを目指している。このためには、研究分担者が綿密な議論を重ね、相補的な研究を推進することが必須である。本年度はもこのための基盤として、定期的に議論を重ね、研究開始に必要となる手続き、設備の確保、予備的研究などを行った。昨年度,今年度に引き続き,次年度以降のための頑健な基盤が築かれたと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
申請書に記載した研究計画を実施し、次年度以降の基礎となるデータが得られた。さらに、研究体制の準備を綿密に行うこともできており、研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
今後はこれまでの研究実施結果に基づき、不安神経症症例を対象とした研究を推進する予定である。また、MRIを用いた研究も本格的に開始する。そのため、研究の遂行、研究結果の解析などの負荷が増加する。迅速な研究の遂行および結果の発表のために、独自の解析アルゴリズムの準備、研究補助者の雇用、多施設からの症例のリクルートなどを適宜行う。
研究実施が一部遅れた部分があり、次年度に実施するための費用とした。計画の変更は一部であり、次年度実施の方向で調整し、研究計画の大きな修正はない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (4件)
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