研究課題
本研究は,不安障害における精神症状の発生メカニズムの解明を目的として,心理学・精神医学・心身医学という3つの研究領域による統合的理解を目指すプロジェクトである.初年度から,健常者および高不安者などを対象に,基本感情および複雑感情の神経基盤の比較,内受容感覚の神経メカニズムの解明などをターゲットとして,さまざまな課題を用いた脳機能画像研究,心理生理学的研究などを実施した.本研究で特に焦点化したのは「内受容感覚」であり,この指標をもとにして,さまざまな解析を実施した.その結果,心臓や胃などの内臓の状態をモニターする機能には島皮質が深く関与すること,また不安障害のようなパーソナリティ傾向にも島皮質の活動と関わりがあることなどが明らかになった.平成27年度は,不安障害における自動思考性を調べることを目的とした研究を継続的に実施した.その結果,マインドワンダリング状態にも類似した自動思考場面において,不安の高い人ほど,時間的に近距離ではなく,遠距離の事象について考える傾向が頑健であることを確認し,その神経メカニズムに関する詳細な検討を行った.本研究の成果は,重度な不安障害における心理療法的な側面にも重要な示唆を与えており,一連の研究の成果はさまざまな場面に応用可能である.また,うつ病との共通点および相違点を機能的に分離させる意味でも重要な見解を示すことができたと考えられる.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Frontier in Psychology
巻: 6 ページ: -
doi: 10.3389/fpsyg.2015.01314
PLOS ONE
巻: 10 ページ: -
doi:10.1371/journal.pone.0125729