研究課題/領域番号 |
24330214
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 統治 筑波大学, 人間系, 教授 (40128046)
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研究分担者 |
甲斐 雄一郎 筑波大学, 人間系, 教授 (70169374)
井田 仁康 筑波大学, 人間系, 教授 (20203086)
清水 美憲 筑波大学, 人間系, 教授 (90226259)
片平 克弘 筑波大学, 人間系, 教授 (70214327)
田中 マリア 筑波大学, 人間系, 助教 (20434425)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 教育学 / 教育課程 / アジア / 基礎教育 / 一貫制 |
研究概要 |
4年間継続研究の初年度に当たり、計5回の講演研究会(台湾・韓国・シンガポール・中国・香港)の結果をもとに、研究上の論点整理を行った。基礎教育課程という問題設定の意義、一貫性ではなくなぜ一貫制なのか、アジア比較で一貫制を調べる視点、さらに理論と実践の研究をどうつなげるか等の問題をめぐって予備調査の結果をもとに一定の見通しと仮説を構成した。OECD-PISA調査で上位を占めるアジア諸国(地域)が抱える社会変動の共通点から整理した結果、基礎教育課程の一貫制を確保しようという政策意図は当該国を取り巻く社会状況と不可分であり、その状況認識の在り様が教育課程改革に関するモデルの選択に影響している。注目すべき社会変動要因の第1は、教育のグローバル化への対応である。グローバル化の波は経済のみならず教育の世界にも押し寄せており、国際学力調査の上位国を模倣する結果、学校教育改革のモデルが次第に同型化しつつある。第2の要因は少子高齢化の趨勢であり、とくに台湾では教員採用試験が激戦化して、これが教員評価や学校・大学評価の厳格化と競争を促している。少子高齢化への危機意識が基礎教育課程の高度化・早修化・到達度化・差別化という一連の一貫制への動きを加速している面がある。移民政策がこれと何らか関係している。第3は、生涯学習社会に向けて基礎教育課程の開発モデルを自前で創造する動向である。その際、日本の改革は参照されておらず、アジアで影が薄いというより非注目と脱モデル化の対象とされる。この点で日本は、基礎教育課程を生涯学習に接続する一貫制の対応が遅れている印象が強い。各国(地域)は、競争的に非欧米モデルを模索しながら、モデル地区やモデル校を中心に、それを創出する段階へ移行しているようである。また、注目すべきことに、現職教育を含む教師教育の標準化とその生涯学習化の施策も中国・香港を中心に進められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アジア比較の専門家や現地研究者を招聘した講演研究会の記録等をもとに論点整理のための討議を行い、その視点をもとに現地調査を行ったので、出張期間を取りづらい中で、資料の収集を効率的に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者が22名に渡るため研究会への全員出席が困難であり、土曜日を利用して講演研究会を行った。今後は、HPを利用した研究グループ別の情報交換を頻繁に行う必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査旅費に残余が発生する予定であったが、通訳等の旅費と謝金に存外、費消することとなったため、次年度の使用計画を大きく変更する必要はない。
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