研究課題/領域番号 |
24330220
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
市川 須美子 獨協大学, 法学部, 教授 (30117692)
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研究分担者 |
光本 滋 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10333585)
高橋 哲 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10511884)
中嶋 哲彦 名古屋大学, 大学院教育発達科学研究科, 教授 (40221444)
小泉 広子 桜美林大学, 総合科学系, 准教授 (40341573)
谷口 聡 中央学院大学, 商学部, 講師 (40636247)
石井 拓児 愛知教育大学, 教職大学院, 准教授 (60345874)
中川 律 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (60536928)
成嶋 隆 獨協大学, 法学部, 教授 (90115056)
世取山 洋介 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90262419)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 新教育基本法 / 新自由主義 / 教育委員会 / 教育費 / 高等教育 / 教科書検定・採択 / 教育裁判例 |
研究実績の概要 |
本年度は、現在進行形で展開する新教育基本法を具体化する政策とその法制化および、こうした状況のもとで展開する教育裁判例の分析を中心に研究を進めた。具体的には、次の成果があった。第1は、2013年以来に具体化された教科書検定制度および採択制度の改変およびその運用の実態に関する分析である。教科書検定制度に関しては、検定基準および審査要項の改訂により作り出された新たな制度が、最高裁判決によって基礎付けられていた従来の検定を正当化する論理を逸脱するものであることを明らかにした。また、教科書採択制度に関しては、八重山地区における教科書採択をめぐる混乱が、究極的には2000年代以降の文科省による政策誘導によって慣習的に成立していた教育の地方自治および学校自治のあり方が破壊されたことに起因するものであると分析した。第2は、2014年6月の法改正による教育委員会制度の改変に関する分析である。昨年度までの成果に基づき、本年度は、法制化に帰結するまでの立法過程の分析により立法者意思を明らかにしつつ、新制度の運用に際しての各条文のあるべき解釈を提示することができた。第3は、2014年6月の法改正による大学制度の改変に関する分析である。これに関しても、立法過程の分析およびあるべき解釈論の提示を行った。第4は、教育裁判例の分析である。これに関しては、本年度は、特に教師の教育の自由の裁判例におけるあり様を分析しつつ、教師の教育の自由の法理の基礎付けのあり方を改めて整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新教育基本法を具体化する制度の立案および法制化は、近年に比べても極めて短期間に、かつ複数の領域で同時的に行われている。そのため、これに関する学術的な研究を行う本研究課題においても、研究代表者を中心に分担者・協力者が頻繁に研究会をもつなど、政策を立案段階から同時的に研究する体制を整え、時機をとらえた情報収集・分析、さらにはあるべき解釈論の提示などを行ってきた。それゆえ、現時点でも計画どおりの研究成果を蓄積しており、研究はおおむね順調に進展しているものといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2012年末以来の安部政権下で教育法制の改編は急速に進んでおり、昨年度の教育委員会改革、教科書検定改革などに続き、近くは道徳の教科化や学校体系の改編が進行する見込みである。最終年度である今年度は、こうした現実の展開をフォローしつつ、過去3年間の成果を整理し、新教育基本法下での「新しい教育法状況」に関して現時点での中間的なまとめを示すことを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度秋に研究代表者が体調を崩して予定していた国内調査を延期したために、旅費使用ができなかったことと、同様の理由で大学院生等のアルバイトで行おうとしていた資料整理が今年度中に実施できなかったことのため
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次年度使用額の使用計画 |
前年度延期した調査を行う旅費と、資料整理のためのアルバイト人件費に充当
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