研究課題/領域番号 |
24330225
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
菊地 栄治 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10211872)
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研究分担者 |
池田 賢市 中央大学, 文学部, 教授 (40222880)
高橋 亜希子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90431387)
永田 佳之 聖心女子大学, 文学部, 教授 (20280513)
吉田 敦彦 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (20210677)
吉本 圭一 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (30249924)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 若年市民層 / エンパワメント / 公共性 / 持続可能性 / 内発性 / 主体変容 |
研究概要 |
本年度の研究は、<若年市民層>が現在直面している社会・歴史的状況が「希望劣化社会」として定義できることを確認するところから出発した。<若年市民層>の雇用機会をめぐる状況はきわめて深刻であり、個人の満足度や幸福度などの主観的特性(心理的正当化)を過大評価することは現実を見誤る結果をもたらすことになる。しかも、新自由主義が社会を侵食する中で、「層」としてのつながりそのものが切断されるとともに、未来とのつながりも希薄化させられてきている。個の析出と自己の物語への回収は、<若年市民層>が言説の資源を奪われる中で、かれら自身のアクションを無力化する現代社会の特徴をさらに強化している。本年度は、これらの基本的な前提を共有しつつ、研究分担者がそれぞれに特色ある事例研究を積み重ねていくことを大切にすることとした。事例研究は継続的に実施されているが、現在のところ以下の諸点が明らかになっている。 (1)高校教育において従来「問題なし」とみなされがちであった進学校そのものを「主体変容」という視点に立って(あるいは、グローバルな視点も含み込みながら)再構築しようという取り組みがなされてきた。この研究では、自治体Aの「進学指導特色校」の取り組みの評価にかかわりながら、旧態依然とした進学校ではない形での<若年市民層>の育成が実現しつつあることを明確にできた。 (2)NPO団体の先導的な取り組みのひとつは、大学生と高校生を「斜めの関係」として捉え直し、大学生のかかわりを支援する中で<若年市民層>が現代的な形で形成される可能性を示唆している。 (3)これらの取り組みの一部を重要な手掛かりとして、大学教員自身がく若年市民層>の教育エンパワメントの実践にかかわる試みを手がけ始めている。まさに、研究者自身の主体変容が問われていることが示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
<若年市民層>の現状と課題について全般的な共通認識を深めることに重点を置き、かつ、個々の事例研究からの積み上げを優先させることとした。達成度の自己評価は、研究プロジェクト全体にかかわる準備に慎重を期することとした結果の反映である。
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今後の研究の推進方策 |
<若年市民層>の教育エンパワメント事例について、当事者の声を聴くことのできる機会をさらに増やしていくとともに、個々の事例研究の構造化を図りたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の理由により優先順位の変更を行った「自治体の取り組みに関する資料収集調査」に重点を置きながら研究の推進を図っていく。
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