平成27年度は科研の最終年度であり、調査活動の最終的な行程を行うとともに、調査結果の分析及び成果発表を行った。また、4年間の科研における研究活動の総括として、最終報告書の作成と発行を行った。 研究代表者である生田は、主として研究成果発表活動を行った。2015年8月には田園調布学園大学のシンポジウムに登壇し、2016年1月には公益法人前川財団主催のシンポジウムでメインの報告を実施した。また同3月には、大阪府の藍野大学にて招待講演を行い、奈良学園大学において開催された日本教師学学会第17回大会で研究分担者の北村勝朗と連名発表を行った。 研究分担者である北村は、教育情報学研究に論考を発表し、日本スポーツ心理学会において、成果発表となる学会発表を行った。 また、年度末には、本科研全体の最終的な成果をまとめた報告書を製作した。報告書では、科研内で実施した研究会及び個々の調査結果を収録した。具体的には、平成26年度に実施したイタリアのボローニャ市、アンコーナ市、ローマ市での調査結果、舞踊、触察絵画、脳、点字絵本の教育実践の分析結果、及び「省察的実践力」「ことばの教育」「インクルーシブ教育」における人間の「学び」「知」「感覚」に関する分析結果を収録した。 以上の活動成果から、科研全体の研究成果として、「わざ言語」を介して「感覚」が共有される過程の分析を行い、その効果と意義とを示した。特に「人間の知の形成における「感覚」とは何か」という根本的な問いを通して、「わざ」の伝承における「感覚の共有」が単なる「形の共有」を超えた「型の共有」をもたらすことを示した。結果として、省察的実践力を高めうる、更新と創造性を包含する過程として「わざ」の学びモデルを示した。
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