研究課題/領域番号 |
24330237
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
小野 由美子 鳴門教育大学, 大学院・学校教育研究科, 教授 (20177273)
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研究分担者 |
近森 憲助 鳴門教育大学, 大学院・学校教育研究科, 教授 (40108874)
石坂 広樹 鳴門教育大学, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (20537493)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 授業研究 / イノベーション / 教育開発 |
研究概要 |
国際協力機構は日本の「授業研究」(Lesson Study)を我が国の教育協力における柱として位置づけ、多くの途上国で教育協力プロジェクトを展開してきた。しかし、プロジェクト終了後「授業研究」が定着した事例は、インドネシアを除いては極めてまれである。「授業研究」を導入しようとしている途上国の現状分析から、「教師文化の問題」(導入段階)、「持続性の問題」(実施段階)、「質の問題」(普及段階)に直面していることが明らかになった。「持続性」と「質」の問題は密接に関係していると推測され、授業参観後の授業検討会で授業改善のためにどのようなコメントを参加者が行っているかに注目した。先行研究では、授業研究は「時間がかかりすぎる」 というマイナスの認知を教師が持っていることを明らかにしている。授業改善につながらないありきたりのコメントを繰り返す場合、参加者は授業研究を時間の無駄とみなし、授業研究に対する関心を失うことが考えられる。そこで、インドネシア、南ア、ケニア、日本の授業検討会のデータ分析から授業検討会での教師のコメントを評価するルーブリックを開発し、そのルーブリックを用いて授業検討会を評価したところ、参加者が教授学的な側面に偏った、比較的レベルの低いコメントに終始していることが観察された。授業研究導入の際の各国の事情(EFA達成やドナーによる生徒中心主義の強調など)とともに、変革促進者として日本人専門家の授業研究観にも注意を払う必要があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の理論的枠組みの検討、関係者への聞き取り調査、現地での授業研究の定着度調査、授業研究の観察のそれぞれにおいて順調に進展している。フィリピンでの定着度調査のみ、現地の学年歴の関係で実施できなかったが、プロジェクトに関わった日本人専門家、フィリピンに派遣され帰国したJOCVから聞き取り調査は実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の実施に特段の問題は生じていない。現地の研究協力者との連絡も密であり、対象国でさらなる情報収集と関連文献の検討を進める。特に、授業研究に参加した経験のある教員からの聞き取りを重視する。
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