研究概要 |
科学・ものづくり教育は,主に小学校では図画工作の「工作」,理科,中学校では技術・家庭科の「技術科」,理科があるが,その中でも技術科は,実習工具や実験器具,電気機器,機械を数多く使用するため,教室・施設の換気や照明等の室内環境と共に,児童生徒の安全衛生を確保する必要がある。そのためには,ものづくり教育における安全衛生を支援する学習内容(コンテンツ)と,教育課程の中で効果的かつ効率的な安全衛生教育を遂行し,そして積極的に推進できる系統的かつ体系的なプログラムを開発する必要がある。このことを,本研究の目的としている。 本年度は,このための準備段階として,(1)我が国の安全衛生教育の核と位置づけられる中学校技術科について,その学習指導要領ならびに教科書の分析を試み,次に,(2)諸外国の技術教育の中でも,伝統的技術から現代的技術に関わる教育内容を含み,また,教室の施設・設備,各種工具・機器の安全衛生面が充実している米国について,そこで使用されている教科書の内容を検討した。なお,(3)安全衛生教育を進める上で大事な「教材」をキーワードとして,その機能(利用と役割)について種々の分析を試みた。 なお,以上のことを支援するために,安全衛生教育に着目し,教育内容・方法を検討しているフィリピンの高等教育機関の調査,安全衛生教育を実践している台湾の中等学校の調査,米国ITEEA事務局長とコロラド州立大学教授を招聘して「技術教育における安全衛生教育」の講演会を実施した。そして,本年度の成果を公表するために,米国ITEEA年次大会に出席して発表を行った。ここでは,世界の研究者から,本研究への指導をいただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,「科学・ものづくり教育における安全衛生学習を支援するために必須となる(1)コンテンツの作成とそのための文献研究,学校の実状調査,(3)プログラムの作成と文献研究,学校の実状調査を行う。」としている。 そこで本年度は,これを支援・実行するために,我が国の安全衛生教育の核と位置づけられる中学校技術科について,その学習指導要領ならびに教科書の分析を行った。また,諸外国の技術教育の中で,伝統的技術から現代的技術に関わる教育内容を含み,教室の施設・設備,各種主具・機器の安全衛生面が充実している米国で使用されている教科書の内容を検討した。なお,安全衛生教育を進める上で大事な用語の「教材」をキーワードとして,その機能の分析を試みた。6回の発表と1冊の印刷物は,本研究が「おおむね順調に進展している」ことを示している。
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今後の研究の推進方策 |
「科学・ものづくり教育における安全衛生プログラムとコンテンツの開発」のための基礎資料を得るために,学校の実状調査を行うと共に,コンテンツの作成とプログラムの具体的開発を行う。これには,研究代表者,研究分担者,連携研究者,研究協力者が協働して行う。また,作成したコンテンツならびに開発したプログラムの検証と評価を,実際の学校を通して行い,そして初期の内容にフィードバックして修正と再構成を計画している。また,次年度得られた情報(調査・研究等の成果等)を広く公開していくと共に,国際的な見地から検討を重ねていく。、 学校への実状調査については,研究代表者,研究分担者,連携研究者,そして協力研究者が協働して行うが,多くの人数の関わりが予想されるので,そのための経費の配慮が必要である。また,コンテンツとプログラムの開発については,その基礎資料を得るための外国出張と,外国の知見を得るために外国研究者を招聘しての研究を行う。
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