研究課題/領域番号 |
24330244
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
宮川 秀俊 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30181986)
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研究分担者 |
古川 稔 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (90112276)
魚住 明生 三重大学, 教育学部, 教授 (80345545)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ものづくり / 安全衛生 / 技術教育 / 国際協力 / 教育課程 / プログラム / コンテンツ / フィンランド |
研究概要 |
科学・ものづくり教育は,主に小学校では図画工作の「工作」,中学校では理科,技術・家庭科の「技術科」で行われているが,その中でも技術科は,実習工具や実験器具,機器・機械等を数多く使用するため,教室や施設の換気・照明等の室内環境と共に,児童生徒の安全衛生を確保する必要がある。そのためには,ものづくり教育における安全衛生を支援する学習内容(コンテンツ)と,教育課程の中で効果的かつ効率的な安全衛生教育を遂行し,そして積極的に推進できる系統的かつ体系的なプログラムを開発する必要がある。本研究は,これらのことを目的としている。 本年度は,このために,我が国の安全衛生教育の核と位置づけられる中学校技術科について,学習指導要領の変遷と安全衛生との関わりについて分析を試みた。次に,諸外国の技術教育の中で,伝統的技術から現代的技術に関わる教育内容を含み,また,教室の施設・設備,各種工具・機器の安全衛生面が充実している米国について,そこで使用されている教科書の内容を前年度に引き続いて検討した。また,安全衛生教育を進める上で大事な「教材」をキーワードとして,その機能(利用と役割)についてさらなる分析を行った。そして,実際の中学校でどのような安全衛生教育が行われているかについてのアンケート調査を実施した。 なお,以上のことを支援するために,安全衛生教育に着目した教育内容・方法を展開している岩手大学教育学部・工学部,台湾・台北市立龍門中学校と国立台湾師範大学産業技術学部を訪問して,本研究課題への参考とした。一方,技術教育が世界で初めて学校教育に導入されたフィンランドのユバスキュラ大学技術教育教授のアキ・ラジネン氏を招聘して,「フィンランドの技術教育における安全衛生教育」と題した講演会を実施した。そして,これら本年度の成果を公表するために,米国ITEEA年次大会に参加して発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,「科学・ものづくり教育における安全衛生学習を支援するための①コンテンツの作成とそのための文献研究,学校の実状調査,②プログラムの作成と文献研究,学校の実状調査を行う。」としている。 そこで本年度は,これを実行するために,我が国の安全衛生教育の核と位置づけられる中学校技術科について,その学習指導要領の歴史的変遷を安全衛生の面から分析した。また,教科書の分析については,諸外国の技術教育の中で,伝統的技術から現代的技術に関わる教育内容を含み,教室の施設・設備,各種工具・機器の安全衛生が充実している米国で使用されている教科書の内容について,我が国の教科書との差異を昨年度に引き続いて検討した。また,愛知県下の中学校100校を対象として,安全衛生に関するアンケート調査を行った さらに,安全衛生教育を進める上で大事な用語の「教材」をキーワードとして,その機能の分析を試みると共に,一方では,安全衛生に留意して技術教育を行っているフィンランド・ユバスキュラ大学から教員を招聘して,「技術教育における安全衛生教育」と題して口演をいただいた。4回の学会等での発表は,本研究が「おおむね順調に進展している」ことを示していることになる。
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今後の研究の推進方策 |
「科学・ものづくり教育における安全衛生プログラムとコンテンツの開発」のための資料を得るためには,理念研究,実践研究,比較教育研究が必要である。これらの面から,今後さらに,文献研究,我が国の学校の調査,諸外国の学校の調査を行うと共に,具体的なコンテンツの作成とプログラムの開発を行う。これには,研究代表者,研究分担者,連携研究者,研究協力者が協働して行う。また,作成したコンテンツならびに開発したプログラムの検証と評価を,実際の学校を通して行い,そして初期の内容にフィードバックして修正と再構成を行っていく。また,得られた情報(研究・調査等の成果)を広く公開していくと共に,国際的な見地からの検討も重ねていく。 なお,学校への実状調査,評価研究については,研究代表者,研究分担者,連携研究者,そして協力研究者が協働して行うが,多くの人数の関わりが予想されるので,そのための経費の配慮が必要である。また,コンテンツとプログラムの開発については,その基礎資料を得るための外国出張と,外国の知見を得るために外国研究者を招聘しての研究を継続して行う。さらに,ここで得られた成果を国内・外国の学会等で講演発表を行うと同時に,紙面による公表を通して情報を発信する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者,連携研究者,協力研究者は全国から参加していただいているが,各研究者の都合により,予定した会議ならびに調査,発表会への参加が大変少なかったことが大きな理由である。次年度は,綿密な計画の元に,会議ならびに調査,発表会に積極的に参加していただく予定である。 当初の計画通り,各研究分担者・連携研究者・協力研究者には,会議・調査・発表会等への参加を強くお願いしていく。そして,主となる補助金の使用は,予定通り旅費に,続いて謝金に,より効果的に行っていきたい。
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