研究課題/領域番号 |
24330252
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
黒田 恭史 佛教大学, 教育学部, 教授 (70309079)
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研究分担者 |
前迫 孝憲 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00114893)
江田 英雄 光産業創成大学院大学, 光医療・健康分野, 教授 (00395237)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 数学教育 / 視線移動計測 / 脳活動計測 / 熟達教師 |
研究概要 |
本研究は、通常の学習指導場面に近い状態での脳活動と視線移動を同時計測可能な装置を用い、算数・数学指導時における教師の学習者理解の特性を、生理学的側面から明らかにすることを目的としている。併せて、課題遂行時の学習者側の生理学的特性を明らかにする。本年度(2年目)は、課題遂行時の脳活動データと、視線移動データの同時計測実験を行い、適正な生理学的データの計測技法開発と、双方のデータの関連性を解明することを目的とした。 計測実験では、算数・数学課題(計算課題、数列課題)を用い、大学生を被験者として、脳活動データと視線計測データの双方を計測し、データ特性を検討した。実験の結果明らかになったことは以下のことである。 まず、両装置ともが波長の近い近赤外線を使用していることから、脳活動データに干渉現象が生じるか否かを、計算課題をもとに検証した。その結果、データ干渉は生じないことが明らかになり、同時計測データの信頼性が確認された。続いて、同時計測実験では、数列課題を用い、異なる難度の課題を交互に課すことで、脳活動と視線移動にどのような影響が生じるのかを検証した。6名の被験者を対象に実験を実施したところ、難度の高低に、脳活動データの高低が対応するとともに、視線の停留は方略が獲得された時点から生じる傾向にあることが明らかになった。 併せて、地図の方向判断課題を用いて、視線計測実験を実施した。これは、視線計測装置の精度を判定するためのものであるが、11名の被験者を対象に実験を行った結果、数センチメートルレベルの精緻な視線位置の判定が可能であることが明らかになった。 これらのことより、脳活動と視線移動は、被験者の課題遂行の状況に対応してある一定の傾向を持って変化すること、精度の面から教育用に十分活用可能であることが明らかになった。次年度は、教師側の場面設定を行い、計測実験を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳活動計測装置と視線計測装置の両方を用いて、算数・数学課題遂行時の脳活動と視線移動の特性を解明することができた。これまで実施してきた脳活動計測結果をもとに、視線移動データとの照合のもと、その特性を検討した。また、同時計測に伴う生理学的データの干渉現象も確認されず、順調な進展と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、学習者観察時の教師役への脳活動計測と視線移動計測の同時計測に着手する。脳活動の高低と視線移動の停留との関連性について検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究発表会への参加回数が予定よりも少なかったため、次年度の繰り越しが生じた。 未使用金については、次年度の研究成果発表時の交通費等に使用する予定である。
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