研究課題
本研究は、通常の学習指導場面に近い状態での脳活動と視線移動を同時計測可能な装置を用い、算数・数学指導時における教師の学習者理解の特性を、生理学的側面から明らかにすることを目的としている。併せて、課題遂行時の学習者側の生理学的特性を明らかにする。本年度(最終年度)の達成目標は、教師と学習者における脳活動の特性について、これまでの実験成果をもとにまとめ、算数・数学教育研究への基礎的データを提供することである。実験では、教師役と学習者役の二人の被験者の同時脳活動計測を実施した。脳活動と視線移動との計測データの関連性については、昨年度の研究でその特徴が解明されたため、本年度は、教師役と学習者役が互いに関与することにより、どのようなデータ間の対応関係が見られるのかという点に着目して実験を実施した。実験の結果明らかになったことは次の二点である。一つ目は、脳活動の全体的な特徴として、学習者役は課題遂行に伴い全般的に増加する傾向にあるが、教師役は学習者役の増加に呼応するように増加する場合と増加しない場合が存在する、これは、教師役が学習者役を観察する過程において、学習者に心情的に寄り添うか、客観的に距離を置くかの違いによるものであると考えられる。教師は、学習者の解決状況を適切に判断し、使い分けていく必要があることが示唆された.二つ目は、脳活動のヒント提示前後の局所的な特徴として、教師役はヒント提示前後を通して増加状態が継続するが、学習者役はヒント提示前後を通して逆に減少する状態が継続する傾向にあった.特に、教師役において、この傾向が顕著であった.これは、ヒント提示が、教師役においては試行全体の中で脳が顕著に賦活する時間帯であり、高い思考状態であるためと推測される.教師役から学習者役へのヒント提示という関与において、その時期と内容を決定することが極めて重要であることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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看護人間工学研究誌
巻: Vol. 15 ページ: 31-36
佛教大学教育学部学会紀要
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