今回の研究は、平成21~23年度の科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)による「児童生徒の反社会的行動に及ぼす非社会性要因の影響について」を踏まえ、調査地点を増やしつつ再検証を試みたものである。 小5から中3までの5年にわたる追跡調査の結果から得られた知見は、「自己有用感」の改善は、①いじめや暴力の加害生徒の出現に直接に影響を及ぼす可能性は低く、むしろ、②被害生徒の出現に影響を及ぼす可能性が高い。ただし、③リアルタイムに影響を直接に及ぼすというより、学級や学年の雰囲気の改善をもたらすことで、次学期における生徒間トラブルを減らしたり、それがエスカレートすることを防いだりする。
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