研究課題/領域番号 |
24330260
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
高橋 智 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50183059)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 幼小中高一貫 / 連携・接続 / 発達障害 / 発達困難 / 私立学校 / 理事会 / 私立学校協会 |
研究概要 |
全国の小学校・中学校・高校を経営する学校法人理事会(1170校)と都道府県私立学校協会・私立中学・高等学校協会(47協会)を対象に質問紙法調査を実施して、私立学校に在籍する発達障害等の特別な配慮を要する生徒に対する同一学校法人内における一貫的支援の実施状況と課題について検討した。発達障害等の特別な配慮を要する生徒が在籍しているにもかかわらず、理事会も含めて組織的に対応できていない問題状況が本調査で浮き彫りになった。すなわち、約8割の学校法人理事会が発達障害等生徒の在籍を確認していながらも、その支援については各学校に任せてしまい、在籍実態や教育状況を把握して教職員配置や財政支援を行なっている理事会の取り組みはごく一部であった。しかし、私立学校の特性を活かした特別支援教育の展望については「公立と違い、転勤が少ないことから継続して特別支援教育に取り組むことができる。卒業後のサポートも充実させることができ、生徒・保護者の信頼を得られる。さらに特別支援教育の充実を図るべきである」(私学協会)との意見も示された。私立学校の特色として、同一学校法人内に複数学校種を設置しており、幼児児童生徒の教育を長い期間に亘って連続して行うことができるメリットが挙げられる。学校法人において、系列の幼稚園・小学校・中学校・高校・専修学校・大学など、学園が一貫して特別支援教育に取り組むことについては多くの学校が「必要」ととらえており、理事会からもその実施のための課題について多くの意見が寄せられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究に関係する研究成果として論文8件(うち審査制学会誌・学術誌掲載論文5件)を公刊した。それらの研究成果の一部は、①「自立援助ホームの発達障害など入所者に関係機関との連携のもとに継続的支援を―高橋智東京学芸大学教授ほかが調査結果発表―」『教育新聞』2013年8月12日付、②「<このテーマ キーパーソンとともに>特別支援教育を浸透させるために―高橋智・東京学芸大学教授―」『日本教育新聞』2013年11月25日付、③「特別支援教育体制整備の遅れ顕著―高橋・東京学芸大教授ら国立大附属学校園を調査―」『日本教育新聞』2013年11月25日付、④「自立援助ホーム4人に1人未就労―本紙アンケート「貯金がない」4割―就労支援が必要―東京学芸大・高橋智教授(特別支援教育)の話―」『毎日新聞』夕刊、2014年3月6日付、などとしてとして報道された。
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今後の研究の推進方策 |
以下の研究作業を推進する。 ①「幼小中高の接続・移行問題について発達障害等の特別な配慮を要する本人・保護者がどのように認識しているのかを実態調査を通して検討」:発達障害等の特別な配慮を要する本人・保護者からみた私立幼小中高の接続・移行問題について、実態調査を通して検討する。その成果は論文「発達障害等の本人・保護者からみた私立幼小中高の接続・移行問題の検討」にまとめる。 ②「高校および高校卒業後の発達障害等の特別な配慮を要する生徒の困難・ニーズについて、発達障害等の本人・保護者への実態調査を通して検討する。」:高校および高校卒業後の発達障害等の特別な配慮を要する生徒の学習・学校生活、進路・移行支援の実態と課題について、本人・保護者への郵送質問紙法調査を通して明らかにする。その成果は論文「発達障害等の本人・保護者からみた高校生活・高校卒業後の困難・ニーズの検討」にまとめる。 ③「幼稚園・小学校・中学校・高校の一貫した特別支援教育システムの開発に向けた課題の検討」:「幼稚園・小学校・中学校・高校」の複数学校種を経営する学校法人(私立学校)に在籍する特別な配慮を要する幼児児童生徒の教育現状、特別支援教育の体制整備状況、進路・移行支援の実態等についての総合的な検討をふまえて、国公私立学校に共通して求められている、「幼稚園・小学校・中学校・高校」の一貫した切れ目のない特別支援教育システムの開発に向けた課題を明らかにする
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次年度の研究費の使用計画 |
科研費による図書の発注と納品、調査の実施と支払いのタイムラグにより次年度使用額が生じてしまった。 図書の発注と納品、調査の実施と支払いのタイムラグにより次年度使用額が生じてしまわないように、早めの執行を行っていく。
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