(1)Rudvalis 単純群に対する28次元の複素格子とランク3グラフに関する研究を,千吉良直紀氏(熊本大学,連携研究者)と共に進めた。出発点となるユニタリ群の幾何(generalized hexagon)の記述を精密化し,グラフの再構成に用いられる5つのデザインのブロックについて,組合せ論的な記述を完成した。これにより,Rudvalis graphはユニタリ群U_3(3)の言葉のみを用いて,新たに構成できたことになる。また,複素格子の中の7点集合(heptad)を集めてHoffman-Singleton graphが作られるというConwayの定理について見直し,heptadの存在を出発点として,pentadという概念を用いてグラフになることの証明を与えることができた。過去の文献では,Conwayの定理の証明が書かれていることはなく,pentadという新しい概念と共に,新しい知見を得たものと思う。以上の成果については,プレプリントを作成しており9割方まとまっている。また,Rudvalis の単純群が作用する4060次の自己双対符号について,その生成系を上記のHoffman-Singleton graphを用いて組合せ論的に与えるという成果について,群論的な記述も含めて論文にまとめて投稿した。 (2)3互換群の作るグラフについて研究を進めた。目標としていたFischer群のグラフの幾何性については結論を得なかったが,研究の過程で,3互換群の基礎理論の一部分の議論の簡易化を見いだした。これについては,8月のセミナーにおいて発表した。 (3)McLaughlin graph の5-cleaqueからの構成は,過去の研究の中でも課題のひとつとして考えていたが,研究協力者(大学院生)により解決を得た。この結果については,次年度の研究集会での発表が予定されている。
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