研究概要 |
平面分割,交代符号行列は代数的組合せ論の核となる対象であり,表現論,数理物理学などの他の分野においても重要な役割を果たしている.この研究では,他分野との関係を念頭におきつつ, (1)Wey1の指標公式の交代符号行列による変形,Andrews-Robbins予想,(q, t)フック公式 (2)交代符号行列,平面分割の精密な数え上げ(構造の解析),ASM-TSSCPP対応の構成 (3)クラスター代数,ストリング理論への応用 などをテーマとして,これらに関するさまざまな未解決問題を解決すること,さまざまな側面を統一的に理解,説明すること,得られた公式,手法などを,他の分野へフィードバックすることを目標とする.2012年度の研究では,d-complete poset以外のフック公式をもつ半順序集合の構造を解析することにより,ブック公式をもつ一般の半順序集合に対しても(q,t)フック公式が定式化できることがわかった.この(q, t)フック公式は,d-complete posetに対して研究代表者が定式化したものとは異なるものである.そして,その公式を具体的に書き下すために,フック公式を組合せ論的に証明するHillman-Grass1型対応の構成,明示公式を目指し,d-complete posetの基礎となるdouble-tailed diamondについてはHillman-Grass1対応の明示公式を得ることができた.これ以外にも,交代符号行列などについても研究を進めた. また,7月30日~8月3日に名古屋大学において国際研究集会"Formal Power Series and Algebraic Combinatorics (FPSAC'12)"を,8月6日~10日に国際高等研究所において合宿型セミナー"ヤング図形・統計物理に関連した代数的組合せ論"を,8月28日~31日に組合せ論サマースクールを開催した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の予想したd-copmlete posetに対する(q,t)フック公式については,研究分担者(石川)によりbird,bamerの場合に証明がなされた.また,d-copmlete poset以外のフック公式をもつ半順序集合についても別の形で(q,t)フック公式が定式化され,d-copmlete posetの場合の特殊性が明らかになった.
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