研究概要 |
高次元Auslander-Reiten理論において基本的な「η有限表現型多元環」を相補するものとして「漁限表現型多元環」をHerschend, Oppemannとの共同研究において導入して,基本的性質を調べた.重要な加群のクラスである刀前射影加群およびη前入射加群に対しては,η概分裂完全列が存在することを示し,もう一つの重要なクラスであるη正則加群に対しては,源,毛利による非可換代数幾何学の手法を応用して,前射影多元環から定まる非可換射影スキーム上の,0次元層と等価であることを示した.ビーレフェルト大学で開かれた第15回多元環の表現論国際集会で,これらの研究成果に関して3回の連続講演をした. Adachi, Reitenとの共同研究では,古典的なBrenner-Butlerによる「傾加群」を変異理論の観点から補完するものとして「τ傾加群」の概念を導入し,その基本的性質を調べた.特に(i)台τ傾加群,(ii)関手的有限なねじれ部分圏,(iii)2項準傾複体,(iv)団傾対象(多元環が2カラビヤウ三角圏に付随する場合),の間の一対一対応を与えた.これらの研究成果に関して,東北大学,シュツットガルト大学,信州大学,ブリストル大学,エジンバラ大学,MSRIでの研究集会およびセミナーで講演をした. Kalck, Wemyss, Yangとの共同研究では,与えられたフロベニウス圏が,ある岩永ゴレンシュタイン環上のゴレンシュタイン射影加群の圏と同値になるための十分条件を与え(森田型定理),その応用として,2次元有理特異点上の特殊Cohen-Macaulay加群から構成される三角圏が,ある特定の部分解消の特異導来圏と同値であることを示した.Dao, Takahashi, Via1との共同研究では,可換ネーター環が非可換特異点解消を持つことと,因子類群やグロタンディーク群の有限生成性の間に,強い関係があることを示した.特に2次元の場合には,有理特異点であることと非可換特異点解消を持つことが同値となる.Aihara, Araya, Takahashi, Yoshiwakiとの共同研究では,三角圏の次元の評価式をいくつか与えた.
|