研究概要 |
Hershcend, Minamoto, Oppermannとの共同研究で, 表現論における古典的対象であるGeigle-Lenzingの重み付き射影直線と, Ringelの標準多元環の高次元化を導入し, 研究を行った. 具体的には, 射影空間Pd上の超平面(H_1,...,H_n)とそれらの重み(p_1,...,p_n)から, 特別な次数付き可換代数であるGL(=Geigle-Lenzing)完全交叉環を導入し, その表現論を研究した. 特に, GL完全交叉環のCohen-Macaulay加群の安定圏(=特異導来圏)が常に傾対象(=tilting object)を持つことを証明した. これはd=1の場合でも新しい結果である. またその応用として, GL完全交叉環がd有限表現型であるための十分条件を与えた. さらにGL完全交叉環に対してSerre構成を適用することによりGL射影空間を導入し, その表現論を研究した. 特にGL射影空間が常に傾束(=tilting bundle)を持つことを証明し, さらにその準同型環であるd標準多元環の性質を調べた. これらの対象は, 高次元Auslander-Reiten理論において基本的であり, 次年度以降も引き続き研究する予定である. 以上の研究成果に関して, MSRI, 上海交通大学, RIMS, 日本大学, コペルニクス大学, IPMU, 東京理科大学, ビーレフェルト大学, Oberwolfachでの研究集会およびセミナーで講演をした. 関連する研究成果として, Lernerとの共同研究で, 射影空間上の特別な整環であるGL整環を導入し, 上で述べたGL射影空間と圏同値となることを示し, さらに傾束を持つことを直接的に示した. これはGL射影空間に対する別のアプローチを与えるものである(arXiv:1306.5867). 他にWemyssとの共同研究(arXiv:1304.5259), Reiten, Todorov, Thomasとの共同研究(arXiv:1312.3659), Jorgensen, Yangとの共同研究(arXiv:1311.4891), Kato, Miyachiとの共同研究(arXiv:1309.6039)を行った.
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