研究実績の概要 |
L. Demonetとの共同研究で, 完備離散付値環上の整環Aと冪等元eに対して, Cohen-Macaulay A加群XでeXが射影eAe加群になるものからなる圏CM_eAを導入し, その基本的性質を調べた. 特に射影A加群Aeがある種の入射性を満たす場合に, 剰余圏(CM_eA)/[Ae]が, 剰余環A/(e)上の加群圏の特定の充満部分圏と完全圏同値となることを示した. 応用として, 旗多様体の斉次座標環の団代数構造の圏化に関するGeiss-Leclerc-Schroeer, Jensen-King-Xuの結果を大幅に改良・拡張することに成功した. I. Reiten, N. Reading, H. Thomasとの共同研究で, Dynkin型の前射影多元環πの導来圏を調べた. 組合せ論の観点から重要なワイル群のjoin既約元と, 直既約τ-rigid加群, さらにπのbrickの間に自然な全単射が存在することを示した. またHasseクイバーの矢のjoin既約元によるラベル付けが, brickによるラベル付けと一致することを示し, さらにA型とD型の場合に直既約τ-rigid加群の組み合わせ論的な記述も与えた. D. Yangとの共同研究で, 三角圏TのVerdier商がTの内部に実現されるための十分条件を与えた. 応用として, Cohen-Macaulay表現におけるBuchweitzの定理, 射影幾何学におけるOrlovの定理, および団理論におけるAmiot-Guo-Kellerの定理が得られることを示した. Y. Nakajimaとの共同研究で, 非可換クレパント特異点解消に対してsteadyおよびsplittingという概念を導入し, そのような非可換クレパント特異点解消が存在する必要十分条件は, 有限アーベル群による商特異点であることを示した. G. Jassoとの共同研究で, 双対的R圏に対して高次アウスランダー対応を与えた. X. Zhangとの共同研究で, k[x]/(xn)のアウスランダー多元環Aに対して, 台τ傾A加群と対称群S_{n+1}の元の間に自然な全単射が存在することを示した. K. Kato, J. Miyachiとの共同研究で, N複体の導来圏に対してrecollement多角形を構成した.
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