研究課題/領域番号 |
24340006
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
宮西 正宜 関西学院大学, 数理科学研究センター, 客員研究員 (80025311)
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研究分担者 |
岸本 崇 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20372576)
増田 佳代 関西学院大学, 理工学部, 教授 (40280416)
黒田 茂 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70453032)
小島 秀雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90332824)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 3次元開代数多様体 / A1-ファイブレーション / 変形理論 / 加法群 / 多項式環 |
研究実績の概要 |
高次元アフィン代数多様体の構造をユニポテント代数群やトーラス群の作用を通して研究するのが,本課題の目的である.代数多様体の自己同型群と構造の関連を研究するといってもよい.研究促進のために,国際研究集会「Algebraic Varieties and Automorphism Groups」を2014年7月7日-7月11日の期間,京都大学数理解析研究所で開催した.外国人研究者19名を含む多数の研究者が参加した.現在,その報告集(査読つき)の編集作業中である.また,R.V. Gurjar(TIFR), M. Koras (Warsaw大), P. Russell (McGill大) とドイツOberwolfach数学研究所において,2014年8月3日-16日の2週間,ユニポテント幾何に関する共同研究を行った. 研究代表者は研究分担者の増田佳代及びR.V. Gurjar (TIFR)と協力して,アフィン直線のファイブレーションをもつ代数曲面の変形について考察した.また,研究代表者はR.V. Gurjar等と協力して,可換環の純拡大について調べた. 研究分担者の岸本 崇はFano多様体がアフィン直線のシリンダーをもつ条件を調べた.Fano多様体は射影代数幾何学で高次元の場合に,その構造が最もよく分っているものの一つであるが,その詳細構造を別の観点から調べたもので,この方向の研究がもっと発展することが期待される. 研究分担者の小島秀雄は,階数1の正規del Pezzo曲面でlog canonical特異点をただ1つもつようなものを調べた.また,消去問題と関連して,正標数の代数閉体上または任意の体上で2変数多項式環上への加法群の作用を調べた. 研究分担者の黒田 茂は多項式環の自己同型群の中で,加法群で生成される部分群とその線形化問題を研究した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はアフィン代数多様体上の加法群の作用やアフィン直線のファイブレーションを使ったアプローチであるが,多様体の有理性や単有理性に関連して,射影的代数多様体に対しても有理曲線族の存在やユニポテント群の作用など似通った方向の研究が盛んになっている.京都大学数理解析研究所で開催した国際研究集会は,両者の方向(流れ)が合流するものとなった.高次元代数多様体の研究には極小モデル・プログラム(MMP)や対数的極小モデル・プログラム(LMMP)が有効であるが,より詳細な構造をに調べるためにはアフィン直線や有理曲線がどのように多様体の中で動くのかの考察が欠かせない. このような研究の流れに乗り,かつ,主導しているということができるので,上記の評価区分を採用している.
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今後の研究の推進方策 |
本課題で定めた研究目的に沿って今後の研究を展開する.新しい有望な可能性は,正標数の基礎体上でアフィン代数幾何学を展開することである.標数が0の場合と違って,代数曲線,代数曲面の場合でも基礎理論は未整備である.すでに,一部の結果を代数曲面の場合に得ているが,大きな可能性が望める. 平成27年度は本基盤研究(B)の最終年度であるから,昨年度に開催した国際研究集会のproceedingsの査読と編集を終えることも課題である.また,毎年開催しているアフィン代数幾何学研究集会(3月と9月)なども,参加者が漸増の傾向にあるので,取り扱う研究主題の幅が広がっている. これらを助長して,アフィン代数幾何と正標数の代数幾何の融合を意図する.
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次年度使用額が生じた理由 |
Kyoto Workshop on Algebraic Varieties and Automorphism Groupsの招待講演者 Hanspeter Kraft(スイスBasel大)が病気のため,また,組織委員Mikhail Zaidenberg (フランスGrenoble大)が多忙のために,来日できなかった.そのための旅費・滞在費で剰余が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
研究代表者と研究分担者がKyoto Workshopのproceedingsの編集作業のために,外国人研究者と調査連絡を取るために使用する.
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備考 |
Kyoto Workshop on Algebraic Varieties and Automorphism Groupsのホームページ http://mathweb.sc.niigata-u.ac.jp/~kojima/index.html
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