研究課題/領域番号 |
24340007
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大本 亨 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20264400)
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研究分担者 |
諏訪 立雄 北海道大学, ―, 名誉教授 (40109418)
與倉 昭治 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (60182680)
成瀬 弘 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20172596)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 数え上げ幾何 / 写像の特異点論 / 特性類 / チャーン・シュワルツ・マクファーソン類 / 国際研究者交流(フランス,ドイツ,米国) / 国際情報交換(フランス,ブラジル) |
研究概要 |
申請書で述べた研究目的の第1テーマについて,非特異代数多様体上の点ヒルベルトスキームのホモロジー特性類に関する代表者らの一連の研究(特性類を係数に持つゼータ関数のオイラー積型表示)を完成させた.これはカペル,マキシム,シュアマン,與倉氏(研究分担者)との共著としてGeometry & Topology(2013)に出版された.第2のテーマは退化跡やシューベルト算法への同変チャーン類の応用であるが,むしろ現在の研究方向は,写像の特異点の数え上げ理論(いわば非線形シューベルト算法)への同変チャーン類の応用を主としている.これについて,著名な特異点論国際会議 Real and Complex Singularities(サンカルロス,2012)において連続講義を行い,2013年度に講義録を書き上げた(ASPMのvolumeに掲載受理).特に,いままで計算方法が全くなかったコランクが2以上の写像芽の特異ミルナー数(イメージやディスクリミナントのミルナー数)に関して,擬斉次写像芽の場合に同変チャーン類のアティヤ・ボット型の局所化公式を与え,計算機を援用して多くの計算結果が出せることを示した.これはいわゆるモンド予想(特異ミルナー数とA-余次元の間の不等式)への斬新なアプローチであり,写像の特異点論における新しい着想である.また超平面配置と異チャーン類の話題では,RIMS研究集会(2013年11月)を関係者とともに主催し,超平面配置へのチャーン類の応用について,国内外の専門家達(アルフィー,リァオら)との研究交流を進めた.トーリック多様体のホモロジー特性類について,純粋に組み合せ論の文脈から多面体の体積の摂動公式の一般化を与えた(大学院生とともに論文準備中).このように交付申請書における研究目的および研究計画欄に書かれてある内容は,おおむね順調に進められている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カペル,マキシム,シュアマン,與倉氏(研究分担者)との共著が専門誌Geometry & Topologyに2013年に出版され,申請者がここ数年かけてやっていた代数多様体のn点ヒルベルトスキームのホモロジー特性類のゼータ関数に関する一連の研究を,満足できる形で完成させた.これは交付申請書で述べた研究目的の第1テーマである.また,第2のテーマ(いわば非線形シューベルト算法)については,2012年夏に行われた大規模な特異点論国際会議(サンカルロス,ブラジル)において連続招待講義を担当した.特に,申請者が開発してきた同変チャーン類理論を用いて擬斉次写像芽の特異ミルナー数に関する一般公式を与えるなどし,写像の特異点の数え上げ理論に大きな前進を与えた.このように着実に研究が進展している.
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今後の研究の推進方策 |
第1テーマの先には,我々のホモロジー特性類のゼータ関数理論と,複素特異点のリンクの量子不変量とヒルベルトスキーム不変量との話題(シェンデら)が関係してくると予想しており,新たな展開が期待される.第2テーマについては,さらに計算結果を蓄積するとともに,種々の証明の整備や同変ホモロジー特性類の特異点論への応用を進める.また,サロモン,ケーリー,ベイカーら英国学派やセグレ,エンリケスらのイタリア学派による射影曲面の数値的不変量に関する数多ある「博物学的」業績を,現代的な視点(特異点分類とトム多項式理論)から整備・統一する研究を考えている.以上の他に,代数的コボルディズムの観点からホモロジー特性類の構成原理を与えること,解析的な局所化手法を用いたトム多項式の精密化などを計画している.
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次年度の研究費の使用計画 |
学内の仕事のため,国内出張を1件キャンセルしたため,助成基金に繰越が生じた. 今年度に,相当する分の国内出張を行う.
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