研究課題/領域番号 |
24340010
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河澄 響矢 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (30214646)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ゴールドマン・リー代数 / トゥラエフ余括弧積 / 形式的シンプレクティック幾何学 / ジョンソン準同型 / ホモロジカル・ゴールドマン・リー代数 / マグナス展開 / 写像類群 / リーマン面 |
研究概要 |
連携研究者久野雄介との共同研究。連結な境界をもつコンパクト曲面についてトゥラエフ余括弧積の「ローラン展開」の0および1次の項を計算した。空でない境界をもつ任意のコンパクト曲面について完備ゴールドマン・リー代数のテンソル表示が得られた。証明のキーステップとして、無限小的デーン・ニールセン定理とも言うべきものが得られた。応用として、最大トレリ群の幾何学的ジョンソン準同型を(プットマンの表示を使わずに)定義し、(シンプレクティック展開と特別展開の両者を包摂する)マグナス展開の理論が構築できた。これらの結果は、曲面を一般化するという方向では「最終版」であると言える。さらなる応用として、無限種数のリーマン面であって、すべてのエンドの方向に種数が無限にあるものについて、その(本来の)ゴールドマン・リー代数の中心が定数ループで張られることが証明できた。 連携研究者久野および代表者の指導する大学院生戸田和樹との共同研究。連結な境界をもつコンパクト曲面のホモロジカル・ゴールドマン・リー代数について、曲面のホモロジー類からなる生成元の最小個数が2g+2であることを証明した。とくに有限生成である。この結果はOsaka Journal of Mathematicsに掲載が決定されている。 対合的リー双代数およびその対合的双加群の定義の条件をホモロジー代数の言葉で書き換え、書き換えたことから生じる曲面のトポロジーの問題を提出したプレプリントarXiv:1301-1398(2013)を書いた。 形式的シンプレクティック幾何学における課題が議論されている。 研究集会「リーマン面に関連する位相幾何学」を9月1日から4日まで東京大学大学院数理科学研究科において主催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空でない境界をもつ曲面について完備ゴールドマン・リー代数のテンソル表示および最大トレリ群の幾何的ジョンソン準同型の構成ができた。これは計画を遥かに上回る進展である。しかし、それにともない、形式的シンプレクティック幾何学および調和的マグナス展開の計算に割く時間がとれず、これらについては計画より遅れている。両者を勘案して(2)と自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの成果を受けて喫緊の課題はトゥラエフ余括弧積の精密化である。関連して、柏原ヴェルニュ問題との関連が浮上してきた。形式的シンプレクティック幾何学については後回しとしたい。この秋の前年度申請も考慮中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
パーソナル・コンピュータの更新を考えたが、現有の機械がまだ問題なく動いているので次年度以降に更新を延期した。
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