研究課題/領域番号 |
24340028
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
隠居 良行 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (80243913)
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研究分担者 |
川島 秀一 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (70144631)
小林 孝行 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50272133)
中村 徹 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (90432898)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 圧縮性Navier-Stokes方程式 / 非圧縮性Navier-Stokes方程式 / 時間周期解 / 空間周期解 / 安定性 / スペクトル解析 |
研究実績の概要 |
1. n次元周期的層状領域上の空間周期外力下の圧縮性Navier-Stokes方程式の空間周期的定常解のまわりの線形化半群のスペクトル解析を行い,前年度に得た半群の指数減衰部分の速度に対する平滑化評価を得た. 2. 3次元柱状領域における圧縮性Navier-Stokes方程式の定常平行流解の安定性を考察した.まず柱状領域の無限に伸びる軸方向の変数に関するFourier変換を施して線形化半群のスペクトル解析を行い,レイノルズ数とマッハ数が十分小さい場合に次のような成果を得た.低周波部分のスペクトルはゼロ周波部分の作用素のスペクトルからの摂動として解析し,線形化半群の漸近挙動の主要部となる1次元熱方程式の解のごとく振る舞う部分と指数的に減衰する部分とに分解することを示した.さらに主要部へのスペクトル射影作用素の高階Sobolev空間における有界性の評価が導出し,非線形解析において有用な半群の主要部の部分に対する因数分解を与えた.次いで,線形化半群のスペクトル解析にもとづいて非線形問題の解析を行い,レイノルズ数数とマッハ数が十分小さく,平行流の密度が定数状態に十分近ければ,定常平行流解は漸近安定であり,攪乱の時間無限大における漸近挙動の主要部は1次元粘性Burgers方程式の解と断面領域上のある関数との積の形で与えられることを証明した. 3. 時間振動境界条件化における半空間上の非圧縮性Navier-Stokes方程式の時間周期解の安定性を考察した.レイノルズ数が十分小さければ線形化発展作用素に対してLp-Lq評価が成り立つことを示し,それをもとにしてレイノルズ数が十分小さければ時間周期解は漸近安定性であることを強解と弱解の枠で示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
n次元周期的層状領域における圧縮性Navier-Stokes方程式の空間周期的定常解のまわりの解の漸近挙動について,線形化半群のスペクトル解析を行い,非線形問題の解の漸近挙動の解析の土台を構築した.断面が任意形状である柱状領域における定常平行流解のまわりの解の漸近挙動の様相を明らかにすることができ,層状領域上の問題に対する先行研究よりも見通しのよい証明を与えることができた.時間振動境界条件化における半空間上の非圧縮性Navier-Stokes方程式の時間周期解の漸近安定性を証明し,圧縮性Navier-Stokes方程式の場合の解析への足掛かりを作った.平面ポワズイユ流の不安定化に伴う進行波解の分岐についてある条件を課して解の分岐を示した.ここで展開した解析手法はテーラー渦の分岐問題に対して有用であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
空間周期的定常解の安定性解析を完成させる. 平面ポワズイユ流の不安定化に伴う進行波解の分岐解析を完成させる.さらにその解析手法をもとにテーラー渦の分岐解析を行う. 時間振動境界条件化における半空間上の圧縮性Navier-Stokes方程式の時間周期解の漸近安定性の解析を非圧縮の場合の解析をもとに行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究集会開催補助のための謝金を他の経費で賄うことができ,また会場費を抑えることができたため,予定よりも支出が少なかったことによる.
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き,情報収集,成果発表のための旅費および研究集会開催のために使用するとともに,海外国際集会に参加して積極的に成果発表を行う.
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