研究課題/領域番号 |
24340031
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
砂田 利一 明治大学, 理工学部, 教授 (20022741)
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研究分担者 |
楯 辰哉 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (00317299)
樋口 雄介 昭和大学, 教養部, 講師 (20286842)
阿原 一志 明治大学, 理工学部, 准教授 (80247147)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 離散幾何解析学 / 位相的結晶 / 複素2次曲面 / 有理点 |
研究概要 |
結晶のミクロな構造を表現する結晶格子(位相的結晶)は有限グラフのアーベル被覆グラフであり、それ自体は数学的思考上の抽象的対象である。これをユークリッド空間の中に具体的に実現する問題は、代数体のアーベル拡大を具体的に記述するという、いわゆる「クロネッカーの青春の夢」の類似と考えられる。この類似は、ワイルの直交射影の方法の離散幾何解析学版として得られる「標準的実現」という特殊な実現を考えることにより一層明確になる。実際、「夢」が代数幾何学的対象と関連しているように、標準的実現は組合せ論的(離散的)代数幾何学におけるアーベル・ヤコビ写像と密接に関連しているのである。2012年末にシュプリンガーから出版した著作[1]では、最小原理およびランダム・ウォークとの関連とともに、代数的グラフ理論の応用としてこのような知見を解説している。さらに、2次元結晶格子の場合は、標準的実現が複素2次曲面の「有理点」(正確には虚2次体の数を座標とする点)と対応していることを発見した([2])。これは、結晶の理論がディオファンタス方程式(不定方程式)と密接に関連していることを意味しており(例えば3-ブーケ・グラフ上の2次元結晶格子の場合は一般化されたペルの方程式と関連付けられ、ルジャンドルの3平方和の定理に関係している)、高次元結晶構造の研究の方向を示唆している。 [1]T.Sunada,Topological Crystanography…with a view towards Discrete Geomethc Analysis…,Springer,2012. [2]T.Sunada,Standard 2D crystalline patterns and rational points in complex quadrics,arXiv:submit/0620196[math.CO]23 Dec 2012.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
結晶理論と複素2次曲面の有理点の問題が結びつくことは予想をしていなかった発見であり、古典的結晶理論を大きく超える結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ディオファンタス方程式と2次元結晶構造の関連をさらに研究し、有理点の分布について詳しく調べる。さらに、結晶構造のcoincidence symmetry groupの研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究に関連するセミナー、ワークショップを開催すると共に、関連文献の購入、外国で行われる関連研究集会に参加、講演を行う。
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