研究課題
超高空間分解能を達成できる超長基線電波干渉計 (VLBI) を用いて、形成途上の大質量星の周囲のガスの運動を直接検出する事により、大質量星の形成機構を解明する。具体的には、質量が太陽の8倍以上である「大質量星」が、太陽と同じ仕組みで形成されるのか(大降着説)、あるいは太陽とは全く異なった仕組みで形成されるのか(合体説)を、観測的に初めて明らかにし、大質量星形成過程に関する議論に終止符を打つ事を目的とする。1.単一鏡によるモニター観測:日立32メートル電波望遠鏡を用いて384天体の6.7 GHzメタノールメーザーの継続的なモニター観測を継続した。大部分の天体については9日に1回程度の頻度の観測を、変動が激しい天体については、1日ないし3日に1回程度の頻度の観測を、2014年5月から2015年3月まで継続した。周期的になめらかに強度変動する天体を新たに1天体(周期約55日)、周期的に急激な増光を繰り返す天体を新たに1天体(周期約180日)、周期的に急激な増光を繰り返しているように見えるが周期の導出に至っていない天体を新たに1天体、予測出来ないタイミングで突発的に増光する天体を新たに2天体検出した。2. VLBI によるモニター観測:メーザー源の空間分布および速度分布を明らかにする目的で、36天体に対して2010年から2013年まで年1回ずつ、日本の VLBI 網を用いた超高空間分解能観測を行った。1回目の観測結果は、日本天文学会欧文研究報告に掲載された。3ないし4回の観測結果全てを用いた解析を現在実行中であるが、解析が完了した14天体のうち、楕円形状を示す天体は6天体であり、回転運動1天体、膨張を伴う回転運動1天体、膨張運動1天体と解釈された。このうち、膨張を伴う回転円盤の存在が明らかになった1天体について、日本天文学会欧文研究報告に投稿した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Publ. Astron. Soc. Japan
巻: 66 ページ: 31
10.1093/pasj/psu015