1)観測されている系外惑星系の中には、主星の自転軸と惑星の公転軸が見かけ上反平行になっていると考えられる観測例かが知られている。それを説明するモデルの有力なものの一つが、惑星同士の重力散乱である。初期条件としてALMA望遠鏡が発見した原始惑星系円盤の分布を採用して、惑星散乱シミュレーションコードを開発した。引き続き系統的なパラメータサーベイを実行中である。 2)以前に行った10年以上の長周期惑星の周りの土星と同じようなリング探索に引き続き、ケプラー探査機のデータから、短周期惑星の周りの岩石を組成とするリングの系統的探査を行った。結果として候補を発見することはできなかったが、そのサイズに対する初めての統計的制限を導出した。 3)星震学によって恒星の自転傾斜角を求める方法論が知られている。これは特に惑星系の主星の自転軸と惑星の公転軸の関係を調べる、他とは相補的な方法となっている。我々は、この方法の系統的誤差をシミュレーションによって調べ、その結果を実際のケプラーデータを用いて94の恒星に対して比較した。その結果、自転傾斜角の推定値にはバイアスが存在すること、また、従来の分光観測による星の自転速度にも別のバイアスが存在することを発見した。 4) 将来の地球型惑星の直接撮像においては、その表層環境のみならず雲の分布とその時間変化が重要となる。そのため、地球の気候シミュレーションで用いられている、大循環モデルを利用して、将来の観測データから地球型惑星の観測の模擬観測を行うための数値計算の準備を行った。
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