研究課題/領域番号 |
24340037
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平原 靖大 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (30252224)
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研究分担者 |
川口 建太郎 岡山大学, 理学部, 教授 (40158861)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 赤外線天文学 / イマージョングレーティング / 赤外分光 / 星間分子 / 宇宙化学 / エシェル分光器 / 振動回転スペクトル / 惑星大気 |
研究概要 |
申請者らが独自に天体観測用分光器として開発した冷却エシェル分光器(GIGMICS)のファーストライト観測データの詳細な解析を行い、(1)分光器の性能の評価(2)CO_2の振動回転スペクトルを用いた金星大気の鉛直分布(3)惑星状星雲NGC7027での[SIV]禁制輝線空間分布、に関する詳細な知見を得て、その結果を国内外の幅広い分野の学会(分子分光研究会、SPIE Conference、天文学会、SGEPSS)で発表した。GIGMICSの広い観測波長域と高い波長分解能は、我が国では唯一かつ最高性能を有していて、星間分子雲や老化星周辺大気のみならず、太陽系惑星大気の観測にもきわめて有効であることが確認され、惑星科学への応用、展開にむけて、小口径の専用望遠鏡の開発計画の検討を開始するに至った。 GIGMICSを国立天文台すばる望遠鏡に設置することにより、中間赤外線領域全域に対する星間分子のスペクトル線サーベイ観測を行うため、すばる望遠鏡の赤外ナスミス焦点台の詳細な検分を行った。その結果をもとに、名古屋大学技術センター専用の可動ステージの設計を完了し、その製作に着手した。また、小型の量子カスケードレーザーによるコンパクトな調整用光源を購入し、立ち上げを行った、さらにGIGMICSの観測波長:N-band全域を網羅するスペクトル標準として、CH_4+NH_3低圧(~10mTorr)封入混合ガスセルの設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では平成24年度末に国立天文台ハワイ観測所に搬出し、平成25年度6月から3ヶ月間で装置の調整と設置を行うことを目指して準備を進めてきたが、すばる望遠鏡の保守期間と重なり、現地での立ち上げ期間を短縮する必要が生じた。また、同望遠鏡の赤外ナスミス焦点でのF/比がGIGMICSの現仕様とは異なり、光学系の変更、再調整が必要であることが判明した。このため、搬出時期を平成25年度初旬に延期することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年6月ごろまでに、観測装置の入射F比の変更と、光軸調整を名古屋大学で行い、平成25年度末までに国立天文台ハワイ観測所に設置し、それ以後、平成26年までに試験観測、本観測を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
主として、観測装置の移設費、ガスセルや可動ステージなどの製作代のほか、米国ハワイ島への旅費および現地の滞在費に充当する。
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