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2013 年度 実績報告書

イマージョングレーティング分光器を用いた星間分子のラインサーベイ観測

研究課題

研究課題/領域番号 24340037
研究機関名古屋大学

研究代表者

平原 靖大  名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (30252224)

研究分担者 川口 建太郎  岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (40158861)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード宇宙化学 / 星間分子 / イマージョングレーティング / 中間赤外線 / 振動回転スペクトル / 短寿命分子
研究概要

ゲルマニウム・イマージョングレーティング中間赤外線冷却分光器(GIGMICS)を、国立天文台ハワイ観測所・すばる望遠鏡の赤外ナスミス焦点台に設置し、高感度かつ高分散の分光観測を遂行することができるようにするために、GIGMICSの前置光学系の入射F比を現在のすばる望遠鏡赤外ナスミス焦点での値F/13.9に変更するための改造を行った。また、これに伴い、実際の観測における天体の明るさに応じて種々の波長分解能および視野を設定するために、4種類の分光スリットを新たに製作し、GIGMICSのスリットタレットに格納のうえ位置の調整を行った。
また、迅速かつ正確な焦点合わせを行うための装置可動ステージ、および外部スリットビューアーの設計、開発を行った。可動ステージは幅:約1,500mm, 奥行:約1,800mm, 高さ:約800mmで、すばる望遠鏡赤外ナスミス焦点台床面に既設のFootprintを基準として、GIGMICSを安定に支持しつつ、焦点位置 (a)全自由度6のうち光軸方向の焦点位置を除くの5つの自由度に対する微調整範囲±5mmもしくは±0.3deg, (b)調整後の位置のロック機構、およびメモリー機構 (c)可搬性 (d)分解、組み立て可能性、といった当初の目標仕様を満たすことを確認した。また、外部スリットビューアーとして、この可動ステージ上に設置したGIGMICSの入射焦点を、すばる望遠鏡の赤外ナスミス焦点に正確に合わせるために、(a)落射照明用光学系, (b)外部ビューアー(c)ガイド用F/13.9もしくはコリメートHe-Neレーザー光源、からなる、コンパクトでGIGMICSの入射窓付近に着脱が容易で、かつ微調整が不要な、幅および奥行が~200mmのコンパクトな外部スリットビューアー光学系の製作を行った。その結果、赤外ナスミス焦点台の高度軸端面とGIGMICSの入射窓との限られたスペース(50 cm)で、安全かつ迅速な光軸合わせ作業が可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究計画の骨子である、イマージョングレーティング分光器の米国・国立天文台ハワイ観測所への移設が遅れている。その主な理由は平成25年度の国立天文台ハワイ観測所のスケジュールの混雑、およびわれわれの観測装置一式の搬入、再調整を行う山麓実験施設の混雑によるものである。また、本年度中にすばる8.2m光学赤外望遠鏡の赤外ナスミス焦点に分光器を設置し試験観測を行うための時間を確保できない状況である。

今後の研究の推進方策

国立天文台ハワイ観測所との緊密な折衝を通じて、本年度中にイマージョングレーティング分光器の移設を実現する。移設工程をよりスムーズに進行させるために、(1)当初計画にあった船便による輸送から、空輸輸送に変更する。(2)ハワイ観測所のヒロオフィス近傍の海外の観測拠点のひとつである、GEMINI望遠鏡の実験スペースを用いた、分光器の再調整を行う。(3)本研究期間内に、装置の日本への返送を行わず、来年度以降も持続して現地での観測時間を確保し、すばる望遠鏡でのサイエンス観測を遂行する。

次年度の研究費の使用計画

本研究計画において当該年度中に行う予定であった、イマージョングレーティング分光器の米国・国立天文台ハワイ観測所への移設が、国立天文台ハワイ観測所のスケジュールの混雑、およびわれわれの観測装置一式の搬入、再調整を行う山麓実験施設の混雑により、遂行することが困難となった。国立天文台ハワイ観測所のヒロオフィスの実験施設以外の場所を借りて移設することも検討したが、分光器の精緻な構造にかんがみ、重大な損傷をこうむるリスクを勘案して、当該年度内の移設を断念した。これに伴い、当初予定していた運搬費および現地滞在費が未支出金額として残った。
上記の理由により生じた次年度使用額は、当初計画どおり、分光器の移設、および再調整のための現地滞在費・旅費などに充当する。なお、移設に当たっては、当初予定の船便による輸送に換えて、航空便による輸送を検討する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] ゲルマニウムイージョングレーティングを用いた中間赤外線エシェ分光観測装置の開発2013

    • 著者名/発表者名
      平原靖大
    • 雑誌名

      日本赤外線学会誌

      巻: 23 ページ: 38-47

    • 査読あり
  • [雑誌論文] FTIR Spectroscopy of NO3: Perturbation Analysis of the ν3+ν4 State2013

    • 著者名/発表者名
      Kentarou Kawaguchi, Ryuji. Fujimori, Jian Tang, and Takashi Ishiwata
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry A

      巻: 117(50) ページ: 13732-13742

    • DOI

      10.1021/jp407822g

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rovibrational states of ClHCl- isotopologues up to high J: a joint theoretical and spectroscopic investigation2013

    • 著者名/発表者名
      Peter Sebald, Rainer Oswald, Peter Botschwina and Kentarou Kawaguchi
    • 雑誌名

      Physical Chemistry Chemical Physics

      巻: 15 ページ: 6737-6748

    • DOI

      10.1039/C3CP44236E

    • 査読あり
  • [学会発表] 中間赤外線高分散分光観測装置GIGMICSの開発2013

    • 著者名/発表者名
      平原靖大
    • 学会等名
      可視赤外線観測装置技術ワークショップ
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      20131217-20131218
  • [学会発表] 次世代観測装置用の新しい回折格子の開発状況2013

    • 著者名/発表者名
      海老塚昇, 平原靖大、佐々木実、田辺綾乃、橋本信幸、森田晋也、山形豊、Andrea Bianco、Filippo Maria Zerbi、青木和光
    • 学会等名
      可視赤外線観測装置技術ワークショップ
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      20131217-20131218
  • [学会発表] 次世代天文学観測装置用の新しい高分散回折格子2013

    • 著者名/発表者名
      海老塚昇、平原靖大
    • 学会等名
      平成 25 年度日本分光学会年次講演会
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      20131119-20131121

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公開日: 2015-05-28  

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