研究課題/領域番号 |
24340041
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
三原 建弘 独立行政法人理化学研究所, MAXIチーム, 専任研究員 (20260200)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 宇宙科学 / 宇宙物理 / X線天文学 / 国際宇宙ステーション / 全天監視 / Be型星 / Be連星X線パルサー / アウトバースト |
研究概要 |
本研究では、国際宇宙ステーション搭載の全天X線監視装置(MAXI、マキシ)を継続運用し、Be型X線連星パルサーの巨大増光/通常増光をもれなく検出し、光度曲線や可視光データから、Be型星の星周円盤の歳差周期や消滅といった、Be星系の動的な姿を明らかにする。本年度は当初見通しの(1)~(3)について以下を行った。 (1)MAXIの継続運用 放電監視は継続し、1年以上放電がない良好な状態を維持している。 GSCカメラの較正を進め、1550Vの低い高圧モードでも正しく天体位置やスペクトルが測定できるようにした。 (2)天体増光現象の監視と、トランジェント天体の発見・速報と、連携観測 MAXIは2009年8月の観測開始以来、2013年1月までに14個のBe連星X線パルサーから延べ42個の増光を検出している。 本年度はBe連星X線パルサー3天体から増光を検出した。増光前からの連続強度モニタによれば、典型的なプリカーサーは存在しなかった。 GRO J1008-57の増光は20年ぶりの巨大増光であり、すざくによる連携追観測を実施した結果、75keVにサイクロトロン共鳴構造を発見した。 GX304-1からは巨大増光の1周回前にダブルピーク状の増光が検出され、巨大増光との関連性が指摘された。 MAXIは4つの新天体(ブラックホール連星2天体、中性子星連星1天体、正体不明1天体)を発見した。正体不明天体は、Swift衛星の追観測を行うも対応天体は無かった。 (3)データ解析と科学的議論 2012年4月にスペインのESAデータセンターの「Be型X線連星データベース」の中心的人物Kretschmar氏を訪問し、MAXIほか4衛星の国際共同作業の内容を相談した。MAXI側からはBe連星X線パルサーH天体について精度の良いX線光度曲線を提供した。 Be星を主テーマとする国内シンポジウムを開催し、可視光、理論の研究者との情報交換をはかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べた(1)(2)(3)の作業はやや遅れている点もあるが、おおむね計画通りに進んでいる。 作業(3)については、「可視光との観測連携」が進んでいないが、それは巨大増光を起こしたGX304-1が南半球からのみ見える天体であり、適切な望遠鏡がないため可視光の観測ができなかった、という不可抗力で、当初想定の範囲内ある。代わりに可視光や理論天文学者との議論を進めるための国内シンポジウムを前倒しで行った。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、進める。研究計画の変更は無い。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通り、進める。 本年度の基金分の未使用額が生じた理由は、適切な解析補助アルバイトを雇用できなかったためである。当該助成金は来年度に繰り越し、来年度の助成金と合わせてボスドクを1名雇用する予定である。すでに公募と候補者選定を済ませており、2013年4月1日付けで1年間、雇用する手続きが進んでいる。
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