研究課題
本研究では、全天X線監視装置(MAXI、マキシ)を継続運用し、Be型X線連星パルサーの巨大増光/通常増光をもれなく検出し、光度曲線や可視光データから、Be型星の星周円盤の歳差周期や消滅といった、Be星系の動的な姿を明らかにする。1.MAXIの継続運用。 放電監視は継続し、2年以上放電がない良好な状態を維持している。GSCカメラ0番は2013年6月15日から突如ガスゲインが上昇し始めた。50μmサイズのマイクロメテオライトの衝突が原因と考えられる。ガス漏れは1か月で0.1気圧程度のゆっくりとした割合である。約3週間ごとに高圧を下げて、±11%以内のガスゲインを維持している。1年程度は観測を続けられる。2.天体増光現象の監視と、トランジェント天体の発見・速報と、連携観測。MAXIは2009年8月の観測開始以来、2014年2月までに16個のBe連星X線パルサーから延べ46個の増光を検出している。本年度はBe連星X線パルサー4天体から増光を検出した。監視しているBeパルサーGX304-1、GRO J1008-57からノーマル増光を検出した。MAXIはKS 1947+300から8年ぶりに増光を検出した。Swift衛星による追観測により18.79sのパルスが検出され当天体に同定された。またMAXIは3つの新天体(ブラックホール連星1天体、中性子星連星 2天体)を発見し、銀河中心付近に位置するbursting pulsar GRO J1744-28からの増光も報告した。3.データ解析と科学的議論。KS 1947+300について可視光共同研究者に依頼し、強度モニタ観測を行った。可視光等級が14等級と暗かったためHα線の高分散スペクトル観測はできなかった。ドイツ・チュービンゲン大学との国際共同研究の一環として、大学院生を1名、12か月間受け入れた。MAXIをテーマの一つとする国際シンポジウム Suzaku-MAXI conference : Expanding the Frontiersofthe X-ray Universeを開催し、国内外の研究者230名の参加を得た。研究の活性化と発展ができた。
2: おおむね順調に進展している
①MAXIは継続して運用されている。マイクロメテオライトの衝突は予想の範囲内である。②MAXI新天体や増光現象の速報は順調に行われている。③可視光天文研究者との共同研究や、国際学会の開催、チュービンゲン大学との国際協力は順調に進んでいる。
来年度(2014年度)も今年度(2013年度)の研究方法を継続する。研究のまとめの年であるので、BeX線連星系の統一的理解を行う。2014年7月に行われるBeXRB2014会議はその絶好の機会である。
ポスドクを1年間雇用する予定であったが、雇用開始したポスドクが途中で辞めて就職したため、残月の雇用費用を繰り越すことになった。ポスドクを1名1年間雇用する。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (15件)
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