研究課題/領域番号 |
24340043
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石川 健三 北海道大学, ー, 名誉教授 (90159690)
|
研究分担者 |
鈴木 久男 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20192619)
矢吹 哲夫 酪農学園大学, 農学生命科学部, 教授 (50275484)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | ニュートリノの干渉・回折 / フェルミの黄金律の有限サイズ補正 / ニュートリノの質量の絶対値の決定法 / 新たなマクロ量子効果 |
研究概要 |
ニュートリノは、電子よりも7桁ほど小さな質量をもち、電荷をもたない素粒子である。これらの性質に起因する、特異なあらたな量子現象が理論的に解明された。長距離にわたり量子的な波動として振る舞う軽い粒子は、数百メートルのマクロな領域で量子的な干渉・回折現象を発現させ、今まで考えらなかった遷移並びに物理現象を引き起こす。これらの物理の解明に基いて、ニュートリノの質量の新たな決定法が提案された。 量子論における状態の遷移は、シュレーデインガ―方程式で決定され、初期状態と終状態が分離した大きな時間間隔で確率が計算されてきた。この計算公式は、物理、化学、生物を含む広い分野に適用されるため、”フェルミの黄金律”と名づけられ、使われてきた。時間間隔が有限である時、初期状態と終状態の波動が重なる結果、遷移確率は無限の場合とは異なる。しかし、この差は今まで無視され、有限の時間間隔での遷移確率の計算やこれが引き起こす現象の研究は、なされていない。本研究は、時間間隔が有限である場合における遷移を初めて検討し、無限である場合とは、質的にも大きく異なる確率が、ニュートリノや光の反応で実現され、対応する遷移が引き起こされることを見つけた。これらの物理効果は、非定常状態の反応や、非定常的な遷移過程において特に重要である。今まで、”フェルミの黄金律”からは、理解不可能とされてきた諸現象が理解しうることが、同時に示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画通り、順調に進展している。初め予定されたニュートリノの干渉・回折の物理で、パイ中間子の崩壊により生ずるニュートリノに関する諸問題は、理論的にほぼ解明された。さらに、ミューオン崩壊が理論的にほぼ解明され、高いエネルギーニュートリノ実験や、ミューオンニュートリノ実験の進展を待つ状況である。この点で、計画は確実に進展している。さらにニュートリノと光の反応、光が関与する量子現象等の初期計画ではあげられていない諸問題や、新たな方向への発展が見つかり、さらなる展開がなされつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
1.ニュートリノの干渉・回折効果のニュートリノ実験による検証。 2.干渉・回折により引き起こされる新たなニュートリノの遷移、遷移が誘起するニュートリノのマクロな諸現象の解明。 3.ニュートリノで見つかった回折機構を、光子や、他の速度が一定の量子的波動現象に適用する。今まで、研究があまり進展していない、非定常遷移における量子的物理を、解明する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究計画の当初に予定された内容は順調に進展している。さらに、新たな方向への展開が進行中である。このため、長時間にわたる旅行を要する外国での国際会議等への出席は一部を除き控えた。そのため、次年度使用予定の直接経費が、でた。これを、今年度の当初の予定額に、加えて有効に使用する。今年度は、昨年度得られた成果を中心に、昨年以上に積極的に海外における国際会議に発表する。また、必要に応じて、計算機等の物品を購入する。 次年度使用額は、今年度に当初から予定された額に、加えて有効に使用する。 1.今年度は、昨年度得られた成果を中心に、昨年以上に積極的に海外における国際会議に発表する。 2.必要に応じて、計算機等の物品を購入する。
|