研究課題/領域番号 |
24340044
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
佐藤 丈 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60322294)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ミューオン / レプトンフレーバー |
研究実績の概要 |
ミューオンを使ったレプトンフレーバーの破れを観測するための実験は近い将来計画されているものにMEG-IIとCOMETがある。前者はミューオンが電子と光子に崩壊する現象μ->eγを観測使用とする実験であるのに対して、COMETミューオンが電子に変わるμe転換を観測しようとする実験である。何となく前者が先に見える、つまり崩壊率が高い、という雰囲気が業界に蔓延しているが、実際は全く違う性質の相互作用によって引き起こされる可能性があるので、μe転換の方が起こりやすいという可能性は十分存在する。 そこで、実際にCOMETがレプトンフレーバーの破れを観測しMEG-IIが観測しなかった場合に、説得的な理論があるか、有ったとしてそれをどのように検証していけばいいのかについて議論した。参考となる(指針となる)理論としてRパリティを破った超対称模型をとり、定量的かつ定性的に、LHC実験まで含めて検証可能性を考察した。 一方で、IceCube実験で観測されている宇宙ニュートリノのスペクトラムについてもμτ対称性をゲージ化した模型で考慮した。このスペクトラムはおおよそ理論の予想と一致しているが、400TeV-1PeVのエネルギー帯のニュートリノが観測されていない。これを説明するために、宇宙背景ニュートリノと宇宙ニュートリノがこの新たに導入した相互作用を通して散乱し、それによりこのエネルギー帯のニュートリノが地球に届かないとすると、ミューオンの異常磁気能率の問題を含めて、一つの枠組みで説明出来ることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅れの一番の理由は、研究支援者が任期の途中で宮崎大学の准教授に採用されることになったため、辞任してしまったことにある。もう一つの理由は、必要な数値計算をする上で作ったプログラムに入っていたバグがなかなかとれなかったことにある。
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今後の研究の推進方策 |
プログラムのバグは最近発見し、きちんと動いていることを他の研究者と互いにチェックすることで確認した。また、新たに研究支援者も雇えることとなった。これにより残りの年度内で、予定通りの研究を行えると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度の途中で、研究支援者が宮崎大学の准教授として転出してしまい、すぐに後任を探せなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
新たに研究支援者を雇う。
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