我は電弱相互作用を行う新たなフェルミオンを導入し、その中性な素粒子が暗黒物質である可能性に着目した。新たに導入したフェルミオンとヒッグス場との友好相互作用を一般的に書き下し、そこから導かれれる電子などの電気双極子能率、暗黒物質・核子弾性散乱断面積、ヒッグス粒子の2光子への崩壊分岐比の標準模型からのズレを評価し、将来の検証可能性を明らかにした。この結果はPLBにすでに掲載された。 超対称標準模型においてゲージーノであるウィノは暗黒物質の候補である。我々はウィノ暗黒物質を検証するため直接探索で必要な暗黒物質・核子弾性散乱断面積の評価を行った。超対称性の破れのスケールが100TeV以上にある時散乱過程は弱い相互作用からなるループ過程によって生じる。リーディングの計算を行った先行研究では偶発的な大アグラム間の相殺により100%の不定性が生じてしまっていた。我々は強い相互作用の次の次数まで計算を行い予言の精度を高め、O(10)%程度の不定性で断面積を予言することに成功した。暗黒物質の起源が宇宙初期の熱的過程であるとするとウィノの質量が3TeV程度となるが、以前のリーディングの計算だと不定性が大きく、3TeVのウィノの核子との断面積から期待される事象の数が大気ニュートリノによるバックグランドに埋もれてしまう可能性があった。我々はそのようなことがないことがあきらかになった。また、以上の計算は電弱相互作用を行う新たなフェルミオンに暗黒物質がある場合一般に適応が可能で、その一般式を与えた。以上の結果はすでにJHEPに投稿済みである。 さらに、暗黒物質が実スカラー、マヨラナフェルミオン、実ベクターで、カラーを持った別の新粒子との相互作用を通して核子との散乱が生じる場合の断面積の評価を系統的に行った。この結果はすでにJHEP に投稿済みである。
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