研究課題
昨年度に引き続き、再電離期の中性水素21cm線シグナルの高次相関解析を行った。私達のこれまでの研究によって、21cm線シグナルの歪み度(skewness)が、再電離期におけるX線によるガスの加熱の開始時期に敏感であり、良い指標であることが分かっている。今年度はその非ガウス性をより詳細に調べるため、フーリエ空間におけるバイスペクトルを用いた解析を行った。21cm線シグナルを密度揺らぎ、スピン温度揺らぎ、中性率揺らぎ起源に分解して解析したところ、それぞれ特徴的なスペクトルを持つことが分かった。特に赤方偏移z=20という再電離開始前では、バイスペクトルは密度揺らぎ起源であり、再電離後期になるに従ってスピン温度揺らぎ、中性率揺らぎが卓越してくることが明らかになった。この成果を受けて私達はさらにバイスペクトルを観測量として用いることにより宇宙再電離を特徴づけるパラメータ、具体的には天体を保持する最低ビリアル質量、電離光子発生率、および電離光子の平均自由行程が、現存する長波長電波望遠鏡であるMWA,LOFERの熱雑音の元でどの程度制限できるかについての研究を行った。結果として、パワースペクトルとは異なるパラメータ依存性を示すおかげでモデルパラメータの縮退の一部が解けて、1/3からひと桁以上制限が改善されることを明らかにした。但し、これらの研究は強烈な前景放射の除去がうまくいくことを暗に仮定しており、前景放射の影響を考慮した解析は今後の課題として残っている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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