研究課題/領域番号 |
24340053
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岡本 宏己 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (40211809)
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研究分担者 |
檜垣 浩之 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (10334046)
伊藤 清一 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (70335719)
大見 和史 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (10194292)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 加速器 / 荷電粒子ビーム / 非中性プラズマ / 空間電荷効果 / イオントラップ / ソレノイドトラップ |
研究概要 |
加速器が生み出す荷電粒子ビームは基礎科学から産業・放射線医療まで多種多様な分野で活用されており、現代社会に不可欠な先進的道具となっている。このためビーム性能の更なる向上が各方面で強く求められている。本研究は、質の高い次世代ビームにおいて顕在化し、その安定性に深刻な影響を与える複雑な非線形多体現象(とりわけ、クーロン自己場に起因する"空間電荷効果")の解明を目的とする。この目的のため、小型の非中性プラズマトラップを応用し、大規模かつ高価な加速器に依拠することなく、実験室レベルでビームダイナミクスの基礎研究を幅広く展開する。この独自の実験手法は本研究代表者により10年ほど前に提案され、主として機能分離型"線形ポールトラップ(LPT)"に基づいた準備研究が進められてきた。 今年度はビーム物理研究用に最適化された、特殊な"ペニング・マルンバーグ型トラップ(PMT)"を設計・構築した。PMTは一様磁場を用いて断面方向のプラズマ閉じ込めを実現する装置で、高周波電場を用いるLPTとは本質的に異なる。必要な電子回路等は間もなく完成する予定で、平成25年度前半から純電子プラズマの閉じ込め試験を開始したいと考えている。他方、既存のLPTシステムを用いたビーム不安定性の実験観測も並行して実施した。とくに、いわゆる"ダブレットラティス"における集団共鳴不安定性を系統的に調べた。その結果、共鳴条件そのものはダブレットの詳細構造には強く依存しないことが確認されたが、一方で不安定性の成長率等に若干のパラメータ依存性が示唆されている。非スケール型固定磁場強集束加速器における共鳴横断現象の研究も進行中である。整数共鳴領域の横断過程を実験的にシミュレートするため、水平方向に双極摂動電場を付加する回路を製作した。摂動場による整数共鳴の発生は確認済みで、次年度初めからその横断実験を開始する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究実施計画をほぼ達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
今のところ、研究内容の詳細に大きな変更を加えることは考えていない。当初の計画通りに本基盤研究を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度経費の残高は極めて少額(1千円未満)であり、次年度の使用計画に有意な影響は与えない。
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