研究課題
NaI(Tl)検出器結晶の高純度化を進めるため、226Raの除去とカリウムの対策を行った。226Raの除去についてはラジウムを吸着するイオン交換樹脂を用いてNaIの原料を処理し、真空乾燥を行った後結晶化させた。カリウムの除去については、詳細な作業工程の確認を行った結果、カリウムが混入する可能性の高い行程を見直した。平成28年2月に直径10.16 cm、高さ7.62 cmの超高純度NaI(Tl)検出器を完成させ、神岡地下実験施設において低バックグラウンド測定を行った。その結果、電子換算エネルギー20 keVにおける計数率は7 /day/keV/kgとなり、DM-ICEと同等の低バックグラウンド環境を達成することに成功した。完成したNaI(Tl)に含まれる放射性不純物の濃度は、ウラン系列については約3 ppt、トリウム系列は1 ppt以下の超高純度になった。これは226Raを除去するための対策を施した結果が効果的に表れたものと考えられる。昨年度の研究で課題となっていた40Kの濃度については、カリウムを除去するための対策を施した結果、低バックグラウンド測定のエネルギースペクトルには明瞭なピークがみられなくなった。一方で検出器周辺素材を起源とする210Pbの影響があり、210Pbによるバックグラウンドが主となっている。以上の成果をもとに総質量250 kgの大型NaI(Tl)検出器設計を行い、WIMPsの相互作用断面積について1e-42 cm2程度の感度で探索を行うことができることを示した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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JPS conference proceedings
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Journal of Physics: Conference Series