研究課題/領域番号 |
24340057
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
栗田 和好 立教大学, 理学部, 教授 (90234559)
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研究分担者 |
菊池 崇志 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (30375521)
若杉 昌徳 独立行政法人理化学研究所, 仁科研究センター, 実験装置開発室長 (70250107)
榎園 昭智 立教大学, 理学部, 助教 (20638118)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | イオンクーラー / 実験核物理 / 放射線 / 加速器 / 原子・分子物理 / 電子散乱 / 四重極トラップ |
研究概要 |
本研究では従来のRFQトラップに、Multi-Frequency RFQ(MRFQ)という新しいアイデアを導入することにより冷却蓄積を目的とする重イオンと軽いイオンを一台のRFQに同時に蓄積し、しかも各RF電圧操作によってそれぞれのイオンの蓄積量を容易に制御できる。 本年度の成果はMRFQで質量の大きく異なる2種類のイオンの同時トラップが可能になる高周波シミュレーションを行い、さらにイオン間の衝突で冷却する効果を考慮のうえ、電極の形状、入射取り出しに必要な電場勾配を作るための電極の分割の仕方などの検討を行い、装置設計を完了した。製作は入札の上、過去に実績のあるコミヤマエレクトロンに発注し、2月初旬に納品があった。まずは真空チェンバーを組み立てて最終到達真空度を測定した結果10-6TQrr台に達しており、真空漏れが無いことが確認された。その後、電極等の複雑な部品の組み立てに入ったが、原理的には作成可能と思われていた部品の穴のサイズに誤差を生じて作り直すなどの必要が生じ、年度内のイオントラップの確認にまで到達することはできなかった。当初の計画よりは少し遅れ気味ではあるが、想定の範囲内であり、予算の大部分の執行が終了したという意味でも重要なステップを通りぬけたと自己評価している。 今後、 1.2種のイオンを同時にトラップすることの確認 2.RFをスイッチすることで軽イオンを捨て、重イオンだけを保持できることを確認 3.エミッタンスの測定により重イオンがどれだけ冷却されるかを確認 4.上記の確認項目で重イオンの収量を最適化する条件を求めること のポイントに焦点を絞り、研究開発を進めていく予定である。その成果は日本物理学会及び国際学会で報告する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の段階では四重極電極が設置された真空チェンバーを設計、製作し、イオンが高周波によりトラップされるところまで確かめる予定であった。実際には四重極電極及び真空チェンバーの製作が終了し、テストを行うのに十分良い真空が達成できたところであり、これからトラップの確認を行うため。
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今後の研究の推進方策 |
現段階では大きな問題は生じておらず、当初計画していた通り研究開発を実行していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
四重極チェンバーにイオンを導入する必要があるが、そのイオンを導入する装置の購入および組み立て調整作業の人件費として使用する予定である。
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