研究課題/領域番号 |
24340059
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
山本 常夏 甲南大学, 理工学部, 准教授 (40454722)
|
研究分担者 |
秋宗 秀俊 甲南大学, 理工学部, 教授 (60319829)
荻尾 彰一 大阪市立大学, 理学研究科, 准教授 (20242258)
さこ 隆志 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (90324368)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 宇宙線観測 / マイクロ波 / 最高エネルギー宇宙線 |
研究概要 |
本計画では、衛星放送の受信用に普及している安価で高性能なマイクロ波受信機器を組み合わせ、電波源のイメージを15ナノ秒の時間分解能で撮像できる広視野電波望遠鏡システムを開発している。この望遠鏡システムにより空気シャワーが発するマイクロ波を世界最高感度で測定する。開発は大学構内で行っている。大学校舎の屋上には既に1.2m口径の電波望遠鏡システムが12台設置してあり、本計画に観測・解析を行うと同時に、装置の感度を上げる開発研究を行っている。この実験により空気シャワーから放出されるマイクロ波の強度を測定し、最高エネルギー宇宙線の次世代観測方法を探る。 平成24年度には電波望遠鏡とデータ収集システムの整備を行った。特に高速応答検出器をR&K社と共同開発した。従来の検出器を3x2cm^2程度のコンパクトな基盤にまとめ、応答速度を数100nsから15nsまで改善した。マイクロ波の検出では信号の減衰とノイズの影響が大きな問題になる。小さな回路に必要な機能をまとめることにより性能を大きく改善できる。これらの装置を甲南大学と大阪市立大学の構内に開発している電波望遠鏡に組み込み観測を行った。大阪市立大学には教育用の空気シャワーアレイがあり、この検出器と連動させて観測を行った。2ヶ月に渡ってデータを収集し、装置のテストを行った。ここで開発した装置を米国ユタ州にあるTelescope Array宇宙線観測所に設置し、観測所にある電子加速器(ELS)による人口空気シャワーからのマイクロ波放射測定を行った。この観測により世界で初めて10^18eVに相当する人口空気シャワーからのマイクロ波測定に成功した。これらの開発.観測により平成24年度は予定通り計画を進めることができたと考えている。ただし、今のところ空気シャワーからのマイクロ波検出は確認されていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は装置の開発がうまくすすんだ。さらに米国ユタ州に装置を設置し測定を行った。事前のテスト観測による準備が整っていたので、短期間で効率よくデータを収集することができた。したがって研究は順調に進んでいると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
まずこれまでの観測データの解析を進める。データは十分な量と質があり、このデータから信号が検出できなければ、マイクロ波による空気シャワー検出は難しいという結論になる。また空気シャワーアレイを建設し、電波望遠鏡との連動観測を行う。これにより多角的な空気シャワー観測を行う。
|